支持率68%という戦後第2位の高い数字をもって、米国オバマ新政権がスタートした。ケネディ元大統領に次ぐこの高い支持率が示しているものは、言うまでもなくオバマ氏への期待の高さである。米国民のみならず世界中が彼に寄せている期待には、もちろん現状のこの世界的金融危機をどうにかしてもらいたいという願い、あるいは史上最低の大統領の烙印を押されたブッシュ前大統領の失地回復に対する期待、が多くを占めているだろう。 オバマ氏が就任演説で強調したキーワードの一つは「責任」であった。彼は選挙戦中にもたびたび「責任」の重要性に言及してきた。彼の言う「責任」とは政府の責任であり、国民一人一人の責任であったはずだ。では、彼の高い支持率は、米国民がその「責任」を負うことに同意した証左かと言うと、そこには疑問が残る。それに、そもそも何についての「責任」なのだろうか。 前回までの4回の当連載においてわたしは、今回の米