<スターリンの大粛清の血塗られた歴史は忘れ去られ、「歴史上最も重要な人物」に選ばれるまでに> 1970~80年代のソ連では、「偉大な革命家」ウラジミール・レーニンの肖像が街にあふれていた。しかしその後を継いだヨシフ・スターリンの肖像を見掛けることは皆無だった。 独裁者スターリンの罪を暴いたのは、後継者のニキータ・フルシチョフだ。56年のソ連共産党大会で秘密報告を行い、大粛清の恐るべき実態などスターリンの個人崇拝が招いた弊害を糾弾、世界を震撼させた。以後、スターリンを革命の英雄とあがめる風潮はなくなった。 70年代にモスクワで育ったジャーナリストのマーシャ・ガッセンは、スターリンについて「学校では教わらなかった」と言う。「まるで存在しなかった人物のよう。スターリン時代は丸ごと歴史から消されていた」 だが今、葬り去られたはずの偶像が掘り起こされ、再び人々の崇拝の的になっている。 かつてドイツ軍