ボヘミアにやってきた日系一家 1896年の夏、ボヘミア西部の町ロンスペルクに、この町の城の新しい女主人がやって来た。彼女は、芸事の稽古を積んだ若い日本人女性で、1年前にオーストリア・ハンガリー帝国の進歩的な外交官と結婚し、クーデンホーフ=カレルギー光子「伯爵夫人」となっていた。 夫は東京での仕事を辞め、息子たちの教育のために故郷に戻ることに決めた。蒸気船と鉄道を使い、光子は夫のハインリッヒとともに日本からやってきた。2人の息子たちはハインリッヒのアルメニア人従者や乳母に連れられ、先にロンスペルクに到着した このとき2歳だった長男のハンスは、後にこの城を相続するが、ナチス政権の協力者として投獄された。一方、1歳半だった次男のリヒャルトは後に“欧州連合(EU)の父”とされる人物になる。 14世紀の古文書ではロンスペルクはチェコの村として記されているが、1890年代にはドイツ語圏に属しており、イ
【12月10日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題で、チェコのミロシュ・ゼマン(Milos Zeman)大統領(73)は9日、トランプ大統領を批判している欧州連合(EU)諸国を「臆病者」と非難した。 イスラエルの擁護者を自認するゼマン大統領は9日、反移民と反EUを掲げる極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」の集会で党員らを前に「臆病者のEUが、親イスラエルの運動よりも親パレスチナのテロリストらの活動が優位になるよう、あらゆる手を尽くしている」と発言した。 来年1月の大統領選で2期目の当選を目指すゼマン氏は前日にも、トランプ氏が物議を醸しながらもエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに満足していると述べている。 4年前にはゼマン大統領自身もイスラエルを訪問した際、テルアビブ(Tel Aviv)にある在イスラエル・チ
欧州で反移民、反欧州連合(EU)を主張する右派が躍進する中、チェコでは右派政党を率いる日系人の政治家が存在感を発揮している。第3政党の「自由と直接民主主義」(SPD)のトミオ・オカムラ党首(45)だ。オカムラ氏は毎日新聞の取材に「EUはこのままでは崩壊する。各国の主権を尊重する国家連合に変わるべきだ」と持論を展開した。【プラハで三木幸治】 父が日本人と韓国人の間に生まれ、母はチェコ人というオカムラ氏。日本生まれで、子供の時にチェコに渡り、児童養護施設などで育てられた。成功を夢見て10代後半で日本に戻ったが、映画館の売店勤務などアルバイト生活から脱却できず、再びチェコへ。日本人を対象にした旅行業で成功を収めた後、業界団体の広報に就任。その後、巧みなトークを武器にテレビで人気者となり、2012年に上院議員に初当選し、15年にSPDを創…
チェコは20、21の両日、総選挙(下院、定数200)を行った。チェコ統計局の発表によると、開票率99%の段階で、実業家で「チェコのトランプ(米大統領)」と呼ばれるアンドレイ・バビシュ氏が率いる与党の中道政党「ANO2011」が得票率29・8%で他を引き離し、第2党から第1党になることが確実になった。 欧州の旧社会主義国で政治的に最も安定していると言われてきたチェコにもポピュリズムの風が吹き、欧州連合(EU)との関係にも影響しそうだ。 ANOは汚職追放と既成政治打破を掲げて2012年に結成された新興政党。食品やメディア関連企業などを経営する富豪として知られるバビシュ氏は「反エリート」を前面に出し、大胆な議員定数削減などを打ち出す。EUの単一通貨ユーロの早期導入に消極的とされ、難民受け入れに反対する発言を重ねる。首相になれば、ハンガリーやポーランドとともに、EU加盟国でありながらEU批判の声を
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