通産省は新潟県燕市の洋食器メーカーを説得して、スポーツ用品の製造に商売替えさせたのだ。それだけではない。同省の職員たちは同じ魔法をほかの業界に対しても使っていた。業界地図を描き変えたり、経済の一部門を屈服させて自分たちの思うままに動かしたりしていた。 国内外の人にとって、これは世界一の高成長国で権力がどのように働いているかを示す例証であると同時に、不安な気持ちになる国家介入の表れでもあった。 今、その通産省が、安倍晋三首相の庇護を得て帰ってきた。首相の景気刺激策「アベノミクス」の設計者たちが同省の復活を後押ししている。彼らによれば、同省のかつての魔法があちこちでもっと使われれば日本はもっと豊かになり、中国ともっと競えるようになるという。同省が権力を欲していることは間違いない。 問題は、彼らが40年前のモデルをどこまで忠実に再現できるかだ。 「官僚機構の中で、今日、権力を手にして行使すること