「こんなにたくさん楷書体というのはあるもんなんか。」次々とスライドに映る楷書体はどれも姿勢が美しく、中国の楷書体に対する執着と歴史を感じることができた。 『20世紀前半期、中国人による「倣宋体・楷書体」の開発と「明朝体」の受容』という講演を聴きにいった。韓国同様お隣の国である中国の書体事情もなかなか知る機会が無く、こういう講演を通して少しでも事情をつかめればと思い参加した。 徹底した研究が行われたようで、豊富な資料とともに日本との関係も含めながら解説が行われたが、半世紀を約2時間で振り返り全て憶えきることも難しく、内容を把握するには同時に配布された資料での復習が必要になった。貴重な講演だったにも関わらず、一番強く残った印象が冒頭の感想だったというのはお恥ずかしい限りだが、繰り出されるスライドの書体一つ一つに個性があって、柔らかい印象のものから端正で凛々しいものまであり見とれてしまった。 一