安倍晋三元首相は2020年に突然退陣し、その約2年後には衝撃の死を迎える。首相の座を手に入れた岸田文雄首相は、巨大化した安倍派(清和会)をけん制しつつ政権を運営していると評されていたが、そのけん制すべき相手の頭目が突然消えてしまったのである。してみれば、本来ならば、岸田氏は自分のやりたかったことを妨害されずに実行に移すチャンスを得た状況となったはずである。 しかしこの間、「やりたかったこと」は、何も見えてこない。その筆頭が、岸田氏が政権獲得時には高唱していた「新自由主義を克服した新しい資本主義」であったが、金融所得課税の「1億円の壁」の問題にすら、いままで着手できていない。「所得倍増」のスローガンが「資産所得倍増」にすり替えられるに至っては、「新自由主義」という言葉の意味を知らずに使っていたのだとみなさざるを得ない。 ところが、このように「やりたいことがないうえに、人気は落ちる一方」とあっ
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