文・写真 山崎聡 火が燃えにくくなった世界を舞台に、前半部「Ⅰ 飛ぶ孔雀」と、書き下ろしの後半部「Ⅱ 不燃性について」からなる連作長編。前半部の主舞台は、蛇行した川のなかにある川中島Q庭園。天守閣を借景とした4万坪の池泉(ちせん)回遊式庭園で真夏の大茶会が開かれ、多くの人々が集う。濃い緑の芝に緋毛氈(ひもうせん)と野だて傘。夜は電飾で一面が光の海と化し、パレードの楽隊が大音量で行進する――。散文詩のような文体でつづられる光景が、徐々に物語の予兆をはらむ。 ――『飛ぶ孔雀』の前半部は自身初めての文芸誌掲載でした。 私は40年ぐらい前に(執筆を)スタートした人間で、途中で育児休暇みたいなブランクが長かったりするんですけれども、とにかく40年前に世に出た時といまとは、まったく状況が違っていたんですよね。たまたまご縁があってSFの場所から出たのですけれど、ほぼ最初に書いた「夢の棲む街」がSF専門誌
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