タグ

ブックマーク / honz.jp (23)

  • 『評伝クリスチャン・ラッセン』なぜ日本で人気なのか - HONZ

    評伝クリスチャン・ラッセン 日に愛された画家 (単行) 作者: 原田 裕規 出版社: 中央公論新社 発売日: 2023/12/20 まだ学生だった頃の話である。その日、山手線のある駅で待ちぼうけをっていた。ふと周りをみるとギャラリーがある。ガラス張りで見通しがきくし、これなら待ち人と行き違うこともなさそうだ。それに暇つぶしに絵画鑑賞なんてしゃれてるじゃないか。そう考えて足を踏み入れたのが間違いだった。 入ると、若い女性が満面の笑みで寄ってきて絵の説明をはじめた。熱心だなと好印象を抱いたが、途中からやけにボディタッチが多いのが気になった。そのうち話がおかしな方向に向かっていることに気づいた。彼女は作品の解説をしていたのではなかった。売りつけようとしていたのだ。 いくら断っても彼女は一歩も引かない。お金がないと言えば、48回払いをすすめられ、待ち合わせ中だと言えば、ぜひお友だちもご一緒に

    『評伝クリスチャン・ラッセン』なぜ日本で人気なのか - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2024/04/22
  • 『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ

    作者: 望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊 出版社: 文学通信 発売日: 2023/4/28 今やあまりお目にかかれない書籍が出た。書は、2021年4月に出版された竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)への反論である。それも、明確な事実と論拠に基づいて真っ向からメッタ斬りにする、恐ろしく肝の据わった一冊だ。 まず、当時の『土偶を読む』現象をおさらいしよう。同書は刊行直後からNHKを中心とする各メディアで注目を集め、SNSでも紹介記事や書評が大きくバズり、脚光を浴びた。人類学者が独自の見識から打ち立てた「土偶の正体は縄文人の用植物」説をイコノロジー(図像解釈学)で次々に解き明かしていくその内容は劇的かつ鮮やかで、養老孟司氏を始めとする著名人らの好評も後押しし、半年で六刷のベストセラーとなる。 極めつきは第43回サント

    『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2023/06/28
  • 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ

    ひさしぶりに会った知人の変貌ぶりにショックを受けることがある。書を書店で見かけた時の驚きもそれに近い。表紙の男性と著者名が一瞬つながらず、人だと気づいて衝撃を受けた。別人のように痩せている。それも何か大病を患ったことをうかがわせるような痩せ方ではないか。 90年代からゼロ年代を通じた福田和也の活躍ぶりは、まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がぴったりだった。「月300枚書く」と人が言っていたように、文芸評論や時事評論、エッセイ、コラムを書きまくり、ワイドショーのレギュラーコメンテーターを務め、文芸誌『en-taxi』を編集し、母校である慶應大学の教壇にも立った。当時、夜の街でもしばしば著者を見かけた。バリバリ仕事をしつつ遊びもこなす姿が眩しかった。 著者を知ったのは学生時代のことだ。江藤淳に才能を見出されたというふれこみで、雑誌『諸君!』でいきなり連載が始まった。破格の扱いだった。

    『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2023/05/07
  • 『地方メディアの逆襲』共に生きて、共に歩む。これからのメディアのあり方 - HONZ

    記者の仕事は過程がそのまま表に出てくるのが魅力的だ。記者が何に問題意識を持ち、どう行動して、どんなメッセージを込めるのか。好きな報道や作品には、記者の怒りや悲しみ、執念さえも感じることが出来る。記者一人ひとりの存在自体が物語性を帯びていて面白い。 では、「地方紙」の記者はどうか。全国紙の記者と地方紙の記者の違いについて、私は書を読むまで考えたことがなかった。分かったことは、地方紙の記者が抱く怒りや悲しみは、その地域で生きる人々の怒りや悲しみであった。住民と共に生きて、共に歩むからこそ、地方メディアが生かされる。 書は、秋田魁新報、琉球新報、毎日放送、瀬戸内海放送、京都新聞、東海テレビ放送の6社を取り上げる。新聞記者やドキュメンタリー制作者などのメディアの担い手に取材を行い、社内の意思決定の過程も含めて「地方メディアのリアル」を描いた作品だ。 地方紙の記者には、地元の人間もいれば、大都市

    『地方メディアの逆襲』共に生きて、共に歩む。これからのメディアのあり方 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2022/02/18
  • 『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く - HONZ

    傷跡から血が滲み出ているような一冊だ。 読み終えた後もずっと「凄いものを読んだ」という余韻が消えない。早くも今年のベスト級の一冊に出会ってしまった。書は当事者ノンフィクションの傑作である。 著者は「修復的司法」の研究者である。修復的司法というのは、1970年代に欧米を中心に広まった紛争解決のアプローチで、従来の刑事司法では、国家が犯罪者を処罰することで問題を解決しようとするのに対し、修復的司法は、被害者と加害者の対話を中心に置き問題解決を目指す。 著者には性暴力の被害にあった過去がある。修復的司法の研究者を志したのも、自らの被害体験と深くつながっているからだった。そして、これがとても重要かつ繊細な機微をはらんだポイントなのだが、被害者だからこそ、加害者との対話に興味を持った。 だが当事者であることを著者はずっと明かせなかった。なぜならカミングアウトすれば「加害者との対話を望む被害者」と単

    『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2022/02/17
  • 『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』行間に立ち上る、人々の暮らしの息遣い - HONZ

    大好きな2時間ドラマの再放送を見ていると、必ずと言っていいほど「過払い金の返還請求をおすすめするCM」が流れる。一時は消費者金融の過払い金返還請求を進めるものが多かったが、最近はクレジットカードでも過払い金がある可能性があるらしく、「もしかしたらあなたにも」とひっきりなしに流れてくる。ラジオも同じだ。半日も聞いていれば一度はその類を聞くことになる。よほど需要があるのだろう。このコロナ禍で人々が経済的なダメージを多かれ少なかれ受けている。もしわずかでも戻ってくるのならと思うのもむりもない。今年に入ってから、法律事務所に相談する人が格段に増えたらしいとも聞く。 そんな中、この1年むしろ強調されてきたのが「自助」と「自己責任」である。このあといつまで続くかもわからないコロナ禍下で、多くの先進国は程度の差こそあれまずは「公助」を強化しようとしているが、この国は必ずしもそうではないようだ。むしろ自助

    『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』行間に立ち上る、人々の暮らしの息遣い - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2021/02/24
  • 音楽で生きる、東京で生きる。『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』 - HONZ

    近田春夫を知っている人は、すでに読んだにちがいない。知らない人は、いますぐ読んでほしい。音楽で生きる、東京で生きる、その2つを味わえる。日のロック、パンク、ヒップホップ、さらにはJ-POPやCM音楽まで網羅した音楽史であり、東京でクールに生きてきた大人の足跡を体感できるだろう。 タイトル「調子悪くてあたりまえ」は、ビブラストーンの名曲からとられている。ご存知ない方は、動画サイトで確かめよう。そのあとで、曲名の意味、そして、ビブラストーンというバンドについて、ぜひ書を開いてもらいたい。 著者は、1951年2月25日、世田谷に生まれる。NHKに勤めたあとTBSに移る父親と、音楽教師の母親を持つ。IQ、知能指数169をたたきだした天才児だったので、慶應幼稚舎に入る。 「僕は春夫君とやっていく自信がないんです・・・」と担任教師が嘆くほどの多動症で、人を笑わせるのが好きだった。にぎやかな場所にい

    音楽で生きる、東京で生きる。『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2021/02/07
  • 先月出た本 2021年1月 - HONZ

    いよいよ2021年がスタートしました。ただ、感染拡大を受けてしばらくは巣ごもりが必要な日々が続きそうです。12月も注目すべきノンフィクションが多く発売されています。まずは先月出たの売上ランキングから売場を見ていきましょう。 日販オープンネットワークWINから12月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルのタイトルを抽出しランキングを作成しています。(2020/12/1~2020/12/31の売上) コロナウイルスに関する書籍が多くなってきています。その中でも、現時点で読んでおくべき現場からの1冊として話題となっているのが『新型コロナからいのちを守れ』です。

    先月出た本 2021年1月 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2021/01/04
  • 誰もが当事者として考えるべきであるという問題提議 『ルポ 「命の選別」誰が弱者を切り捨てるのか?』 - HONZ

    命の選別。重く響く言葉である。そして、その現実は暗くて深い。『ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?』では、「優生社会」のさまざまな問題点が明らかにされていく。 優生思想など過去の遺物と思われるかもしれないが、それは間違えている。国家が強制したトップダウンの優生学ではなく、リベラル優生学とも呼ばれる、個人が望むボトムアップの新しい優生学が横行し始めているからだ。 その要因は大きく2つある。ひとつは生命科学の大きな進歩。もうひとつは、ゆがんだ社会観とでも呼ぶべきものから生み出される誤った考え方。 前者には、出生前診断(特に妊婦の血液検査で簡単に染色体異常がわかる新型出生前診断)、受精後の早い段階で胚の遺伝子異常を調べる着床前診断、そして、2020年のノーベル化学賞を受賞したゲノム編集技術の3つがある。 このような先端技術を用いて、先天的な異常のある子供を「淘汰」できるようになっている。

    誰もが当事者として考えるべきであるという問題提議 『ルポ 「命の選別」誰が弱者を切り捨てるのか?』 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2021/01/04
  • 『国道16号線 「日本」を創った道』 - HONZ

    私が住む東京都町田市の小田急町田駅の東口の広場には「絹の道」という石碑がある。それをゼミ生に見せてからJR横浜線の下り線に乗り、八王子に向かう。その車中で、なぜ八王子と町田を結ぶこの街道が絹の道と呼ばれるか、学生たちに説明する。 このあたりの多摩丘陵の地形地質が桑畑に向いていて、それが地域の養蚕業を盛んにしたこと。そうして絹製品の産業基盤がこのあたりにあったところに、幕末期に盛んになった生糸輸出で、山梨や長野、群馬の生糸がいったん八王子に集まり、そこから輸出港横浜まで運搬されるルートができたこと。その流通加工拠点であった八王子には富が蓄積されたし、横浜までは生糸を馬の背に乗せて運ぶにも一日では歩ききれないので、行商人たちがその中間地点の町田で一泊してお金を落としたこと。横浜で生糸を売り捌いて懐が暖まった行商人たちが、おそらく帰路についた一泊目の町田で羽根を伸ばしたので町田には町の規模の割り

    『国道16号線 「日本」を創った道』 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2020/11/23
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ

    京都の若い女性からの切実な願い 1995年5月初旬のことです。ユニークな内容が書かれた一通の手書きの依頼文が、『探偵!ナイトスクープ』に寄せられました。そのころはまだパソコンが普及していませんでしたから、依頼は必ず、はがきか手紙で寄せられました。 手紙をくれたのは、京都市内に住む24歳の女子学生でした。地元京都で学生になる前に、東京で働いていた時期があったようです。この依頼はまさにこののテーマ、なんと「女陰」の名称の全国方言分布図を作成してほしいと求める内容だったのです。こんなお願いが、若い女性から、しかも大真面目な文章で寄せられてくるとは、夢にも思っていませんでした。 私たちに依頼文が届いたのは、1991年5月24日に「全国アホ・バカ分布図の完成」編を放送してから、ちょうど4年が経ったころでした。この放送をきっかけに、私が「アホ・バカ方言」の研究を仕事の合間に始め、『全国アホ・バカ分布

    【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2018/09/14
  • 『中動態の世界 意志と責任の考古学』善でもなく、悪でもない。あいまいさを語る幻の文法 - HONZ

    深く関わりたくないと思う問題の多くは、善悪二元論に陥りがちなものばかりである。豊洲は安全なのか、そうでないのか。忖度はあったのか、なかったのか。唐揚げにレモンはアリなのか、ナシなのか…。議論を単純化すればするほど、問題は質から遠ざかる。それなのになぜ人は、かくも簡単に二元論に陥ってしまうのか? 答えを解く鍵は、文法にあった。 通常、我々が親しんできた文法の区分けは、能動態と受動態の二つである。これは全ての行為が「する」か「される」かのいずれかに配分されることを求めるが、前提として意志の概念が存在する。良きにせよ、悪きにせよ、自らの意志で行った行為であればそこに責任が伴うため、善悪の判断の基準になるのだ。 しかし、かつて能動態でも受動態でもない「中動態」なる態が存在していたという。書は、ある日忽然と姿を消してしまった中動態の足跡をミステリーさながらに辿り、中動態が存在した時代の世界観を鮮

    『中動態の世界 意志と責任の考古学』善でもなく、悪でもない。あいまいさを語る幻の文法 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2017/04/17
  • 右でも左でもない。リアリストが問う国防論『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』 - HONZ

    2001年に海上自衛隊に特別警備隊という部隊が創設されるまで、自衛隊に特殊部隊は存在しなかった。特別警備隊はある事件を端緒にして誕生することになる。その事件とは1999年に起きた、能登半島沖不審船事件である。 この事件は覚えている人も多いだろう。イージス艦「みょうこう」が北朝鮮のものと思われる工作船を追跡し自衛隊史上初の海上警備行動が発令された事件である。このとき「みょうこう」の航海長を務めていたのが書の著者である伊藤祐靖だ。彼はこの事件を機に特殊部隊の創設にまい進し、先任小隊長を務める事になる。 書冒頭の不審船事件の記述から緊張感が溢れだす。今まさに日人を拉致しているかもしれない北朝鮮の工作船に伊藤は激しい怒りを覚えながら追尾任務をこなす。海上保安庁の船が燃料切れの心配をし途中で帰投してしまったために、追跡の任務は「みょうこう」に一任されていた。この時、それまで一度たりとも発令され

    右でも左でもない。リアリストが問う国防論『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2016/09/11
  • 大人も楽しめる『14歳からのケンチク学』 - HONZ

    まともに読んだことがない、未開拓のジャンルに手を出してみる。それはワクワクすると同時に、危険なことでもあると思う。選書を大きく間違えれば、その経験がトラウマになってしまうかもしれないからだ。無理矢理背伸びをして買ってはみたものの、結局面白さが分からず積読行き、というが重なると、期待を膨らませていたぶん反動がきて、むしろそのジャンルを避けるようになることさえある。 個人的に、その落とし穴にはまったジャンルが「建築」だった。何の予備知識もないまま買ってみたところ、建築用語が理解できず、使われる素材などの話にも興味が持てず、撃沈。以来しばらくこのジャンルは遠ざけてきた。 ところが最近書を偶然見つけ、思わず手に取った。タイトルからして、全くの素人でも何とかなりそうなのである。帯に書かれた「ケンチクが気になる人、この指とまれ!」という優しさあふれる一文にも背中を押された。 書は「ケンチク」につ

    大人も楽しめる『14歳からのケンチク学』 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2015/05/15
  • 『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』 本質にいたる思考 - HONZ

    コンテンツとはそもそも何なのか、クリエイターはどのようにコンテンツを生み出しているのか、1億総クリエイター時代にコンテンツはいかにして差別化されるのか、そして天才クリエイターは通常のクリエイターと何が違うのか。スタジオジブリで「プロデューサー見習い」として過ごした著者が、「コンテンツとは何か」と問い続けた体験をもとに、これらの疑問に答えを出していく。 ジブリでの体験やアニメーター達との対話が書のベースになってはいるが、著者の提示するコンテンツの質はアニメに限定されない普遍的なものであり、いわゆるクリエイターだけでなく、情報を取り扱うどのような人にも多くの示唆を与えてくれる。コンテンツの質を理解することは、ビジネスメールの書き方や映画の観かたなど、あなたの仕事や普段の生活まで変える可能性を持っている。 このには、質へ迫るための、著者の思考過程が丁寧に描写されている。そのためコンテン

    『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』 本質にいたる思考 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2015/04/23
  • 『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』 - HONZ

    現在に不満な人は、未来に期待せず、過去を美化して懐かしむのです。歴史の中でもっとも捏造されやすいのは、庶民史と文化史なんです ああもうマッツァリーノ先生のおっしゃる通り。 日は豊かにはなったが、肝心の心を失ってしまった、昔は貧しくとも大家族で笑顔でくらしていた、誇り高く礼儀正しく生きていた云々かんぬんが、近年やたらと目につくのである。 昔を懐かしんで楽しく酔っぱらって寝る、というだけなら罪もないが、捏造した歴史をもとに未来を決める政策がまかり通り、はたまた捏造した美しき国をもとに他国を見下げて歩く、となるとやっかいである。じつにやっかいである。ほんと、誰か止めてください。 というわけでマッツァリーノ先生の出番だ。 『反社会学講座』『反社会学の不埒な研究報告』等々、世に流布し定着してしまっている捏造や思い込みを、次々に暴きだしてきた先生。毎度毎度面白く、膝を打つばかりなのである。 曰く。

    『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2014/10/24
  • 『ものの言いかた西東』 - 大阪の空中殺法「よう、言わんわ」、東北の万能奥義「どうも」 - HONZ

    全国の津々浦々で使用される方言は、地方の特色を彩る大きな要素の一つである。アホとバカ、ショッパイとカライ、イルとオルといった言葉の違いは、我々の文化の多様性の一端を示しているとも言えるだろう。 一方で、それらの方言をフレーズ化して構成される「ものの言い方」については、その人の性格に依拠するところが大きいものと思われがちである。間接的なもの言いが多ければ回りくどい奴、必要最低限のことしか言わなければぶっきら棒な奴など…。ところが意外や意外、この言い回しというものにも、地域差が大きく関与しているらしい。 書は、ものの言いかたに表れる地域毎の違いから、それらを生み出した社会的な要因、さらには影響の連鎖や歴史的な側面にまで着目した一冊である。言語は思考を規定するように、ものの言いかたはコミュニケーションを規定する。引いては人間関係や商売上の結果にも大きな影響を及ぼすことだろう。いわばこれまで

    『ものの言いかた西東』 - 大阪の空中殺法「よう、言わんわ」、東北の万能奥義「どうも」 - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2014/09/11
  • 『浪速のロッキーを〈捨てた〉男 稀代のプロモーター・津田博明の人生』ボクシングビジネスの光と影  - HONZ

    世界タイトルまで行くには、テレビ局がついてくれなあかん。そのためには注目されることが大事や。おまえがプロデビューしたら、オレが適当な相手を見つけてきたる。おまえはとりあえず倒しまくったらええ。プロは倒してなんぼや。連続KOの日記録を狙うんや 津田の野望は壮大だった。世界王者のトレーナーになる。だが、ボクシング人気全盛の当時、ジムすら持っていない津田がアマチュアで実績を残した才能ある選手に巡り会うチャンスは皆無。津田は考えた。自分で原石を見つけて、磨き上げればいい。有力ジムでない以上、必要なのは「看板」だ。高校インターハイを制して、マッチメイクを工夫してでも「それなりの実績」をつくる。近所でボクシング好きな中学生の竹ノ内秀一に出会い、自宅や公園で二人三脚の練習が始まった。

    『浪速のロッキーを〈捨てた〉男 稀代のプロモーター・津田博明の人生』ボクシングビジネスの光と影  - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2014/07/08
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『腸よ鼻よ』11指腸 2018年09月29日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2014/06/12
  • 『年収は「住むところ」で決まる』 プログラマーが多い街にはヨガ教室が多い - HONZ

    中国から“ものづくり”を取り戻せ。こんなスローガンが聞かれるのは、かつてのものづくり大国・日だけではない。リーバイスのようなアメリカン・スピリッツを象徴する企業までもが製造拠点の全てを海外に移し、失業率が高止まりするアメリカでも“製造業保護活動家”たちが製造業の復権を強く訴えているようだ。しかし、カリフォルニア大学バークレー校教授で経済学者の著者エンリコ・モレッティは、彼らの主張は多くの誤りに基づいていると指摘する。 そもそも、アメリカの製造業は長年のあいだ拡大を続けており、2009年時点の生産高は中国とほぼ同じである(日の約2倍)。1970年代からの生産高増加と反比例して製造業関連従事者が減少したのは、生産性が飛躍的に向上したから。ジェネラル・モーターズ従業員1人当たり年間生産台数は、1950年代に約7台だったものが、現在では約28台にまで増えているという。この生産性の向上は、エンジ

    『年収は「住むところ」で決まる』 プログラマーが多い街にはヨガ教室が多い - HONZ
    Hi-Fi
    Hi-Fi 2014/05/12
    「高技能・高賃金の職と低技能・低賃金の職に2極化するトレンド」って言ってるけども高技能・低賃金の職業人と低技能・高賃金の職業人が交わる場所での悲喜劇みたいなものについても考えてみたいなとおもいました。