「底を打った」という政府の景気判断とは裏腹に、悪化を続ける雇用情勢。各党のマニフェストには失業や非正規労働者対策が並ぶが、過労死やサービス残業、賃金カットといった正社員の労働条件の問題は、争点としてかすみがちだ。サラリーマンの街といわれる東京都港区新橋の公園で、過酷な労働に苦しむ正社員に政治に望む声を聞いた。 (橋本誠) 「いつ倒れてもおかしくない。本当に大丈夫じゃないんですよ」 猛暑の熱気が残る午後八時、公園の砂場で夕飯のコンビニ弁当を食べていた三十代男性=千葉県=が真顔でつぶやいた。十年ほど前、サービス業の会社に入社。いまは人手不足で残業が百時間を超えている。 「今日は上司に『帰れ』と言われて退社したが、仕事は山積み。自分がうつ病じゃないかと思うときもある。北欧のように休みを増やしてほしい。でなければ、スムーズに転職できる環境をつくってほしい」 公園の花壇に座っていた横浜市の男性(35