NHKで放映されていた「ハーバード白熱教室」の内容を元に書き起こされた政治哲学の解説書である。私も「ハーバード白熱教室」を見ていたが、なぜ今までこのような内容が放置されていたのか理解出来ないくらい面白く興味深い内容だった。 私自身はここ十年くらいは経済学を中心に知識を拡充してきたこともあり、同番組も経済学から見て正当化可能か、という観点から見ていた。経済学は、社会における数字で捉えられる現象を分析することで資源の最適配分を考える学問であり、道徳哲学のうち客観的に検証可能な範囲を取り扱っているとも言える。 私が「スティグリッツ経済学」を最初に読んだときに感じたのは、思想を導入しなくてもこんなに多くのことがわかるのかという驚きであり、思想をウサン臭く感じていた理系人間にとっては、これこそ真の思想書なのではないかと思ったものである。 その後、経済学について詳しくなっていくにつれて気付いたことは、