普門寺を訪ねる増田さん。1日分の着替えと飯ごう、鍋など最低限の荷物を持って旅をする=8月24日、陸前高田市 ◎元福島第1原発副所長 増田哲将さん=長野市 8月24日、岩手県陸前高田市の普門寺。東日本大震災の津波で流された同市の「高田松原」の倒木で作った母子3体の地蔵を前に、般若心経を唱える男性がいた。 長野市の山伏増田哲将さん(79)。増田さんの地元の善光寺には、普門寺の母子地蔵の家族で、出稼ぎに来たとされる父親の地蔵がある。善光寺では前日、地蔵を巡って子どもの健全育成を祈る地蔵盆が開かれた。 「善光寺はにぎわっているのに、こっちは寂しいと思ってね。それで来たんです」。手には錫杖(しゃくじょう)、頭には漆塗りのかさ。サンダル履きの足が日に焼けている。 増田さんは東北4県の被災地で巡礼路の整備を目指す一般社団法人「東北お遍路プロジェクト」(仙台市)の巡礼地の旅を続けている。昨年は福島