完成したはずのトンネルが、ほぼ全てやり直しに――。全国の公共工事でも異例の事態が和歌山県で起きている。トンネル内壁のコンクリートの厚みが規定の10分の1しかないなど「張りぼて」であることが発覚したのだ。トンネル整備は、南海トラフ地震による津波被災時などのアクセス確保が目的。受注業者の負担で工事がやり直されることになったが、使用開始は約2年遅れてしまう。 【写真まとめ】天井部分の裏側は空洞…「張りぼて」トンネルの内部は ◇津波時に威力発揮するはずが… 施工不良が発覚したのは、同県那智勝浦、串本両町境の「八郎山トンネル」(全長711メートル)。この地域の主要幹線道路・国道42号は、海岸近くを走っており、地震による津波被害が想定される。このため、内陸部を通る県道に新たなトンネルを設けようと、県は2020年に一般競争入札を実施。浅川組(和歌山市)など2社による共同企業体が約20億円で受注した。22
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