(英エコノミスト誌 2012年7月14日号) 大衆迎合的な政治がタイ最大の農作物をダメにしている。 タイとコメの関係ほど、1つの農作物がその国の自己像と固く結びついている国はあまりない。特にタイの香り高いホームマリ米は、ジャスミン米の品種の中で有名になった。タイは30年、あるいはそれ以上にわたって、世界最大のコメ輸出国の座に君臨してきた。 1月以降、輸出が4割強も減少 ところが今、その突出した地位が脅かされている。 タイで最も高い評価を受けている経済シンクタンクのタイ開発調査研究所は最近、1月以降のコメの輸出高が前年比44%減少しており、同国が世界最大の輸出国の座をインドかベトナムに明け渡すことがほぼ確実になったと報告した。 こうした事態は輸出業者に警戒感を抱かせると同時に、政治的なきな臭さを感じさせる。 多くの人は輸出の急減を、1年前の選挙で圧勝した首相、インラック・シナワット氏の支持母