愛国ソングの誕生を振り返った前編に続き、「反リベラル」の動きが盛んとなって以降のポップミュージックの流れをたどる。桜ソングの流行、そしてW杯からの影響……こうして愛国ソングの30年を跡付けた先には、「排外主義なき愛国」をいかに実現するかという課題が見えてくる。 「反リベラル」なヤンキーポップ 90年代の歴史教科書論争、小林よしのりの『新ゴーマニズム宣言SPECIAL・戦争論』(1998)のヒットにより準備されてきたサブカルチャー領域の右傾化動向は、2002年の日韓ワールドカップをきっかけに顕著になる。 この時期のサブカルチャーの右傾化動向については、倉橋耕平『歴史修正主義とサブカルチャー』が詳細に分析しているが、90年代から2000年代にかけての「右傾化」は、素朴な愛国心の発露というよりも、朝日新聞や岩波書店に象徴される「戦後リベラル」に対するサブカルチャー的な反抗であると考える方が理解し