(1) Tさんは、とある進学高校の一年生だが、一学期の中間テストが終わった頃から不登校となり、現在に至っている。Tさんは小さい頃から学習塾やピアノの稽古事に通い続けており、中学時代は優等生とみられていた。だが、今のTさんはもう学校に行く事が出来ない。学校に行ってもどう振舞っていいのか分からない。勉強も、もう無理だと思って諦めている。塾にも通わず、友人とのやりとりも途絶えてしまって久しい。 会って話を聞くことになった。これが好きという趣味は無い。親から与えられたピアノや教養書をいつも読んでいる。漫画を読むことはあるが、楽しみにしているというよりは同級生と話を合わせる為にみる、という意味合いが強いそうだ。好きな漫画やアーティストは何か尋ねたら、特に無いという。中間テストの成績が悪かったことを親に叱られ、それ以来すべて無気力でどうでも良くなってしまった、という。 「そんなに成績悪かった?」 「は