政府事故調が23日公表した最終報告は、事故対応に当たっての菅直人前首相の数少ない手柄とされる東京電力の全面撤退阻止問題について、今月5日に最終報告書を公表した国会事故調と同様に「(東電が)全面撤退を考えていたと認めることはできない」との認識を示した。菅氏ら当時の官邸メンバーが「全面撤退と受け止めた」と強調してきた大きな争点だったが、客観的評価はほぼ定まった。 この問題では「一部撤退の意図だった」との東電の主張に、最初に報告を出した民間事故調は疑義を呈していた。ただ、民間事故調は東電から聴取できていない。政府、国会両事故調は未公開の東電のビデオ会議記録も調べ、客観的証拠から全面撤退を否定する同じ結論に至った。 記録の断片的発言から、政府事故調は一部関係者が全面撤退を考えた可能性も検討したが、「疑わせるものはあるが断定できない」と慎重に退けた。 また、政府事故調の最終報告は民間、国会両事故調と