「復興財源」に関する議論が盛んだが、消費税増税でまかなうという方法には基本的に反対である。 税はあくまで、治安や教育・社会保障など、市場では効率的に資源が分配することが困難な、特に恒久的な財源を必要とする分野への再分配の手段である。市場と政府のいずれが資源配分を担ったほうが人々の負担がより減るのか、という選択肢の中ではじめて増税という手段がでてくる。だから、そういう選択肢が立つ以前の段階の、しかも今回のような緊急的な(といっても長期的だが)、被災した人の生活支援やインフラの復旧といった目的には、やはり消費税増税はそぐわないと考える。 もともと消費税という税制のよさというのは、効率的で安定的に徴収できるという以上に、低所得者や年金生活者も少しづつ(そして所得に比べればやや過分の)負担に応じているという事実が、分配の対象を「恵まれない人」に限定しないような、普遍的な社会保障制度の基礎になること