出来の悪い学生だった私は、法学部在学中にほとんど民法の勉強をしなかった。そんな私の、大学院でゼロから民法を修得する決意を、平易な表現と秀逸なテンポの解説で支えてくれた「 スタートライン民法総論 第2版 」の著者、池田真朗教授の新刊。「スタートライン…」は、平易な内容とはいえ、一応、基本的な法律用語に問題のない法学部生を対象にしているが、本書は、まったく法律を学んだことがなくても理解ができるよう、随所に工夫がされている。 税理士さんたちと仕事をしていると、中小企業経営者からは「法律の問題もひと通りは理解できるだろう」という期待をされているにもかかわらず、債権法の基礎すら理解していない方が非常に多い。その結果、迅速な対応が求められる法律問題の初動を誤るケースが散見される。とはいえ、法学は一朝一夕に身につくものではなく、また、若いうちに学習を始めなければ、なかなか自分の知識として扱うことができな