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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (29)

  • 住む家を追われ、食糧支援で飢えをしのぐ...ロンドンの小学校では大半が「ホームレス児童」という英国の異常事態

    住む家を追われ、糧支援で飢えをしのぐ...ロンドンの小学校では大半が「ホームレス児童」という英国の異常事態 <「生活費の危機」のさなかにあるイギリスでは、住宅問題だけでなく飢えに苦しむ人々による万引きの急増など社会不安が強まっている> [ロンドン発]英BBC放送によると、ロンドン南部の小学校ハリス・プライマリー・アカデミー・ペッカム・パークは全児童約300人に無償で制服、遠足、給を提供している。一部の家庭には料小包も配っている。児童の家庭が困窮しているためだ。その大半が友人宅のソファや宿泊施設のベッド・アンド・ブレックファスト(B&B)、ホステルで暮らす。 児童のほとんどが「ホームレス」ということだ。イングランドの地方自治体では昨年4月から1年間にホームレスが雨露をしのげるように民間宿泊施設、B&B、ホステルや避難所に対前年比約9%増の合計17.4億ポンド(約3200億円)を費やした

    住む家を追われ、食糧支援で飢えをしのぐ...ロンドンの小学校では大半が「ホームレス児童」という英国の異常事態
  • 「No, thank you.」の消滅......アメリカは日本化しているのか?

    <日でもアメリカでも、ネットを介した短いコミュニケーションで関係性を悪化させないための知恵が必要に> 日の若者がLINEなどのメッセージで「句点(。)」を一切使わないということが、話題になっています。句点無しの短い文章を区切りながら繰り出すことで、リアルタイムのコミュニケーションを取るためのようです。それが完全に定着する中で、句点を使うことが「威圧感、怒りの感情」の表現として受け取られるようにもなっているようです。 若い人たちに指摘されて気付いたのですが、実はこれはアメリカでも全く同じです。短いメッセージをどんどん繰り出してリアルタイムの交信をする場合には、ピリオド(フル・ストップとも言います)を使いません。反対に、あえてピリオドで切るとそこには「納得していない」という拒絶や怒りのニュアンスが感じられるといいます。 英語の場合は、少しバリエーションがあり。二人称の you について、い

    「No, thank you.」の消滅......アメリカは日本化しているのか?
  • ブラジル大統領ロックダウンを拒否「どうせ誰もがいつかは死ぬ」

    Brazil President Bolsonaro Rejects Virus Lockdown: 'We'll All Die One Day' <感染者が急増中の大国で、科学を信じないリーダーのせいで感染予防が行えない。パンデミックの次の震源地になるか> ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、新型コロナウイルスは「ちょっとした風邪」にすぎないと一蹴し、国民に働いて経済を動かし続けるよう呼びかけている。ロックダウン(都市封鎖)にも反対で、自らの支持者に対してその理由をこう言った。「私たちはみな、どうせ死ぬのだ」 アメリカのドナルド・トランプ大統領とよく並べて語られるボルソナロは3月29日、全国規模の隔離を命じるよう求める州知事たちとの何週間にも及ぶ論争を跳ね返し、パンデミック軽視の姿勢をますます鮮明にした。ブラジル保健省の発表では、同国における新型コロナウイルスの感染者数は4661人

    ブラジル大統領ロックダウンを拒否「どうせ誰もがいつかは死ぬ」
  • 「地球平面説」が笑いごとではない理由

    <科学否定論の拡大を嘆く筆者が「地球平面説」信者の会議で試した科学を守るための方法とは> 科学関連の信じられないようなニュースが、連日メディアをにぎわせている。例えば、「全米22州で700人以上がはしかに感染」というニュース。予防接種は恩恵よりも害のほうが大きいと考える親が、子供に予防接種を受けさせないケースが増えているためだ。あるいは、一向に可決されない温暖化対策法案のニュース。これは気候と天気の違いも分からない政治家が大勢いることが一因となっている。 極め付きは、「地球は平面だ」と主張する「フラットアース論者」が増えていることだろう。 このように科学を軽視あるいは否定する風潮に危機感を覚えた科学者らが、2年前、世界600都市で「科学のための行進」を実施した。私の地元ボストンのデモでは、「冷静に批判的に考えろ」「科学がなければツイッターもなかった」「深刻な問題だからオタクも来た」など、ユ

    「地球平面説」が笑いごとではない理由
  • ディズニー恐るべし、『アラジンと魔法のランプ』は本当は中東じゃないのに

    <少し前、カナダのトルドー首相の昔の「黒塗り」写真が問題になった。『アラジンと魔法のランプ』の主人公アラジンに扮した写真だったが、実はこの話、お世辞にも由緒正しいアラブ文学とはいいがたい> もう20年以上昔の話である。クウェートに住んでいた友人のパレスチナ人と話をしているとき、白人や黄色人種といった言葉が話題になった。 そのとき、アラブ人は有色人種なのか、白人なのか、有色人種なら何色なのかという議論となり、そのパレスチナ人は、アラブ人は形質人類学的にいえば、いわゆる白人と同じコーカソイドであるが、肌の色としては有色人種であり、色は茶色であると主張した。20年以上昔のことなので、ポリティカル・コレクトネスの考えかたも希薄で、こちらもふーん、そうなんだと適当に相槌をうっていた記憶がある。 なんでこんな話を突然思い出したかというと、これまたちょっとまえの話で申し訳ないが、カナダのジャスティン・ト

    ディズニー恐るべし、『アラジンと魔法のランプ』は本当は中東じゃないのに
  • デジタル版「毛沢東語録」は文革時代の紙版よりも恐ろしい

    Digitalizing Mao’s Little Red Book / ©2019 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN <習近平国家主席の指示や談話が大量に収録されたアプリ「学習強国」は、クイズに解答したポイントで忠誠度まで評価される> 世界でよく売れているといえば、1番目は『聖書』、2番目は「紅宝書」。紅宝書とは『毛沢東語録』のことだ。 ポケットサイズで赤いビニールカバー、持ち運びしやすく汗にも強い。文化大革命時代は紅宝書を学ぶことが国民としての義務で、誰もが1冊持っていた。毎日朗読し、暗記し、どんな場面でも語録の言葉を引用しなければならない。仕事の報告書を書くときはもちろん、ラブレターを書くときも。 1976年に毛沢東が死去し、10年間の文化大革命が終わると中国人は紅宝書から解放された。その後の40年間、経済発展に没頭し、紅宝書の

    デジタル版「毛沢東語録」は文革時代の紙版よりも恐ろしい
  • 日本で深夜に襲われたタイ人京大准教授 犯行はタイ軍部が関与か

    タイの軍政と君主制を批判して亡命し、現在は日に在住しているパビン・チャチャバルポンプン京都大学准教授(48)が先月、日国内の自宅で就寝中に襲撃される事件が起きた。写真は2014年5月、バンコクでタイ国旗を振る抗議デモ参加者(2019年 ロイター/Damir Sagolj) タイの軍政と君主制を批判して亡命し、現在は日に在住しているパビン・チャチャバルポンプン京都大学准教授(48)が先月、日国内の自宅で就寝中に襲撃される事件が起きた。パビン氏は消息筋の情報としてタイ軍部が背後にいると主張。アピラット陸軍司令官は全面的に否定している。 パビン氏によると、7月8日の午前4時ごろ、自宅でパートナーと就寝中、侵入してきた男が2人に向けて何らかの物質を噴射し、2人とも皮膚にやけどを負った。軽傷で済んだものの、警察からは自宅に戻らないように指示されたという。 日の警察当局は、タイ人の男がパビン

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  • 中国「三峡ダム」危機--最悪の場合、上海の都市機能が麻痺する

    <四川省で起きた大規模な山崩れは、当に大雨だけが原因なのか。世界最大の三峡ダムが一帯で大地震を頻発させているという指摘があり、さらには砂礫により、ダムそのものも機能不全に陥っている> 6月24日、中国・四川省で大規模な山崩れが発生した。中国メディアによれば、住宅62戸が土砂に埋まり、120人以上が生き埋めになったという。山崩れの現場は、四川大地震と同じ場所であり、ここ数日、大雨が降りつづいて地盤が緩んでいたことが原因だとされる。だが原因はそれほど単純なものではないだろう。 2008年5月に発生した四川大地震はマグニチュード7.9を記録し、甚大な被害をもたらした。震源地近くでは地表に7メートルの段差が現れ、破壊力は阪神・淡路大震災の約30倍であった。 専門家は、四川盆地の北西の端にかかる約300キロにわたる龍門山断層帯の一部がずれたために起きたと分析し、これによって地質変動が起こり、龍門山

    中国「三峡ダム」危機--最悪の場合、上海の都市機能が麻痺する
  • 「難民受け入れます(ただし独身男性を除く)」の波紋

    テロ対策 独身男性は難民の対象から除外する?(カナダのトルドー首相) Chris Wattie- REUTERS カナダ新首相のジャスティン・トルドーは24日、当初の計画どおり、カナダは2万5000人のシリア難民を受け入れ、定住させると発表した。ただし、今年末までとしていた計画履行の期限は2016年2月に延期する。 CBC(カナダ国営放送)ニュースは以前、カナダは家族連れと独身女性、子供しか受け入れないことになるという匿名の情報を引き合いに、難民擁護派の懸念を伝えていた。独身男性は安全保障上のリスクが高すぎるという考えによる選別だ。 ただしゲイの独身男性は難民として受け入れるという。ある政府高官によれば、ゲイの男性はISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の戦闘員による攻撃を受けやすいからだという。 CBCニュースによれば、カナダ当局はすでにレバノンで1日に100人の難民を審査・選別し、難

    「難民受け入れます(ただし独身男性を除く)」の波紋
  • 【写真特集】遊牧と定住の狭間に揺れて

    中国都市部が著しい経済発展を遂げるなか、新疆ウイグル自治区の遊牧民の伝統的な暮らしにも都市化の波が押し寄せている> 中国の西端に位置する新疆ウイグル自治区には数多くの少数民族が暮らす。雄大な天山山脈一帯で放牧生活を送るキルギス系遊牧民もその1つ。夏には標高の高い山の奥地で放牧し、冬になると麓に近い場所で越冬する彼らは、育てた羊を売って生計を立てている。 大草原での放牧と違って山岳地帯は草が乏しいため、羊飼いの男たちは一日中険しい山肌を駆け巡る。ゲルに残る女性もヤクの乳搾り、燃料となる羊のふんや「バルカン」と呼ばれる低木の収集、ラクダの冬毛を使った糸紡ぎなど休む間もなく働く。 11年以来、キルギス系遊牧民の撮影を続けている私は昨年春、夏の放牧地への移動に同行した。途中で雨に見舞われて羊が3頭いなくなり、2日間足止めをらうなど計7日間を要したが、3家族分の羊とヤギ、馬、ラクダ、ヤクを移動さ

    【写真特集】遊牧と定住の狭間に揺れて
  • ハラール論争で見えた中国人の「イスラム嫌い」

    <イスラム教徒向け品「ハラール」の不正表示対策を求める声が、中国のネット上で激しいヘイトスピーチに火を付けた>(写真:「清真(ハラール)」の品を販売する陝西省西安の店) ここ半年ほど、中国のソーシャルメディアで過激な反応を引き起こしている問題がある。 それは、中国人のイスラム教徒がハラールフード(イスラム教の戒律にのっとって処理された品)の偽装表示対策を求めていることだ。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」には、こうした要求をテロと同一視し、要求を聞き入れれば国内のイスラム教徒の過激化を招くと決め付ける声が渦巻いている。 偽ハラール・フードへの法規制を求める運動を主導するのは、少数民族の回族の人々だ。中国最大のイスラム教徒グループで、人口は1000万人を超す。イスラム教徒は「ハラール認証」の表示を頼りに品を買うが、悪徳業者による偽装表示が絶えず、不信感は募る一方。そこで、回族たち

    ハラール論争で見えた中国人の「イスラム嫌い」
  • 【対談(前編):冷泉彰彦×渡辺由佳里】トランプ現象を煽ったメディアの罪とアメリカの未来

    <今回の大統領選を振り回した「トランプ現象」。その背景にあるのは、経済格差への怒りなのか、屈した白人労働者層の不満の爆発なのか、それともセンセーショナリズムを煽ったメディアなのか?> 11月8日の投票日まで残り2週間余り、共和党のドナルド・トランプ候補と民主党のヒラリー・クリントン候補の対決も最終盤を迎えた今年のアメリカ大統領選。当サイトで共にコラムを連載し、今回の選挙で多くの現地リポートも執筆している、アメリカ在住の冷泉彰彦氏と渡辺由佳里氏の2人に、対談形式で大統領選を振り返ってもらった。今月14日、東京のウェブ編集部とニュージャージー州プリンストンの冷泉氏の自宅、マサチューセッツ州ナンタケット島に滞在中の渡辺氏をチャットアプリで結んで対談を実施した。 トランプ現象の背景には何があったのか ――今回の大統領選は、これまでの常識が通用しない異常な選挙だった。その最たるものが「トランプ現象

    【対談(前編):冷泉彰彦×渡辺由佳里】トランプ現象を煽ったメディアの罪とアメリカの未来
  • 失業と競争のプレッシャー、情け容赦ないフランスの現実

    『ティエリー・トグルドーの憂』  (C)2015 NORD-OUEST FILMS - ARTE FRANCE CINEMA <リストラで1年半も失業中の中年男。やっとの思いでスーパーマーケットの監視員の仕事を手に入れるが、彼はその新たな職場で過酷な現実を目の当たりにする。フランスで観客の共感を呼び大ヒットとなった社会派ドラマ> フランスで観客動員100万人の大ヒット社会派ドラマ 社会の片隅に生きる人間を見つめるフランス人監督ステファヌ・ブリゼの『ティエリー・トグルドーの憂』では、失業によって悪戦苦闘を強いられる男の姿が描き出される。主人公のティエリー・トグルドーは1年半も失業中の中年男だ。職業訓練を受けても就職できなかった彼は、やっとの思いでスーパーマーケットの監視員の仕事を手に入れる。ところが、これで家族を養いローンも返済できると思ったのも束の間、彼はその新たな職場で過酷な現実を目

    失業と競争のプレッシャー、情け容赦ないフランスの現実
  • 予備選で見えてきた「部族化」するアメリカ社会

    先鋭化する対立 先月シカゴではトランプの予備選イベントが抗議グループの乱入で中止となった Kamil Krzaczynski-REUTERS 今年の大統領選挙では、アメリカ歴史を変える現象が次々と起こっている。 その一つが、2大政党制崩壊の兆しだ。 アメリカの選挙制度ではこれまで、共和党か民主党の2つの政党に属さない候補者が大統領に選ばれるのはほぼ不可能だった。 ところが、民主党予備選では、この大統領予備選の以前は「無所属」だったサンダースが、命視されていたヒラリーに北西部や中西部の州で圧勝している。そして共和党予備選では、トップを走るトランプは共和党員でなかったばかりか、政治ではまったくの素人だ。 共和党と民主党の2大政党制の限界と改善策を語るとき、これまでは「中道」の第3政党の誕生が語られてきた。どちらの党にも属していない無所属の大部分は「中道」だったからだ。だが、2016年の大統

    予備選で見えてきた「部族化」するアメリカ社会
  • 日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いている

    低下する意欲 日の成人の学力は数的思考力などで世界トップだが、新しいことを学ぼうという意欲は低い AnaAdo-iStock. 子どもの学力の国際比較はよく目にするが、成人の学力ではどうだろうか。世界各国と比較して、日はどのくらいの位置にあるのだろうか。 OECDは、子どもだけでなく成人を対象とした学力調査も実施している。国際成人力調査(PIAAC)で、各国の16~65歳を対象に、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力を調査している。 2012年の同調査で、日の平均得点は軒並みトップとなり、「大人の学力世界一」という見出しが新聞に躍った。一見すると喜ばしい結果だが、別の側面からは日が抱える深刻な問題が見えてくる。 それは「新しいことを学ぶのが好き」という、知的好奇心だ。変化の激しい現代社会では、新しいことを絶えず学ばなければならない。そのためには、学び続ける意欲が必要だ。こ

    日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いている
  • 「排外発言」とは正反対だった「舞の海氏の講演」(前回エントリのお詫びと訂正)

    昨日(27日)アップした大相撲に関するエントリで、舞の海秀平氏が講演で「外国人力士排斥発言」を行ったという報道を受けてコメントしましたが、その後、アラスカ在住の好角家の方から指摘があり、その講演の内容全体を動画サイトで閲覧することができました。 結論から言えば、舞の海氏の発言は報じられていたのとは180度異なり、むしろモンゴル出身力士をはじめとした外国人力士へのリスペクトに溢れたものでした。まずもって、お詫びと共に訂正をさせていただきます。 この講演から明らかなのは、舞の海氏もまた相撲文化の素晴らしい継承者であるということであり、その素晴らしい弁舌も含めて、名講演と言っても過言ではないと思います。 この講演で舞の海氏の指摘したのは、以下のような点です。 「相撲の発祥地はモンゴル。東進して韓国経由で日に伝わった。西進したものは現在トルコなどにも伝えられている。 「日歴史上初めて相撲が登

    「排外発言」とは正反対だった「舞の海氏の講演」(前回エントリのお詫びと訂正)
  • スノーデンはなぜたらい回しにされたのか

    エドワード・スノーデンはどこの国にでも行くつもりでいる。だが、先週末にベネズエラのマドゥロ大統領がスノーデンの亡命を受け入れると表明するまで、そんな国は皆無だった。 米国家安全保障局(NSA)の監視活動を暴露した元CIA(米中央情報局)職員の亡命申請は、ドイツスペイン、ノルウェーに拒否され、ロシア中国にも受け入れられなかった。彼がそのくらい最悪の亡命志願者だからだ。 迫害を受けたか、受ける恐れのある外国人を亡命者や難民として保護する法律はどの国にもある。だがこの法律が適用されるのは通常、その人物が受け入れてほしい国に既にいる場合だ。例えば中国政府に迫害されているチベット人が、北京のアメリカ大使館に電話して「亡命したい」と言っても通らない。 世界各地の難民キャンプには1500万人以上が暮らしている。もしそこからフランスやイタリアに亡命できるなら、申請者は無数に膨れ上がってしまう。 しかも

  • オバマのアメリカから独立したい

    建国の精神 アメリカ独立宣言に従えば、オバマ政権にもはや正統性はない Jim Young-Reuters バラク・オバマ大統領が勝利した米大統領選。この選挙結果と今後のアメリカの行く末に不満を抱く大勢のアメリカ人が、ホワイトハウスにある要求を突き付け始めた――わが州をアメリカから独立させよ、と。 ホワイトハウスのホームページに設置されているオンライン請願システム「We the People」には、大統領選以降で10万人以上の署名が集まっていると、BBCは報じている。 連邦政府からの離脱を求める請願は20州から起こっており、そのほとんどがミット・ロムニーに投票した有権者が多数を占める南部を中心とした共和党支持者優勢の州。だが民主党優勢の北東部の州もいくつか含まれている。 ワシントン・ポスト紙によれば、請願を提出しているのはアラバマ、アーカンソー、コロラド、フロリダ、ジョージア、インディアナ、

  • ロムニーにとって災害支援は「不道徳」

    連邦政府は関知せず? 巨大ハリケーン「サンディ」の直撃を受けたニュージャージー州 Tom Mihalek-Reuters 大きな自然災害が発生したら連邦政府が救援に乗り出す──11月6日の大統領選で共和党のミット・ロムニー候補が勝てば、そんな常識も通用しなくなるかもしれない。 ロムニーは昨年、共和党の大統領候補を決める予備選の討論会で、財政赤字の削減に注力すべき時期に、連邦政府が災害時の支援に公的資金を投入するのは「不道徳」だと発言したのだ。 討論会でロムニーはまずこう切り出した。「連邦政府の手を離れて州政府に戻せるものがあれば常にそうするのが、正しい方向性だ。その方針をさらに進めて民間部門に戻せれば、なおいい。連邦予算の支出項目の中から『何を削減すべきか』ではなく、反対に『何を残すべきか』を考えるべきだ」 「でも、災害支援は残しますよね」と、司会役のジョン・キングが尋ねると、ロムニーはこ

  • ドイツ中小企業を買いあさる中国マネー

    ドイツのコンクリートポンプメーカー、プツマイスターは今年1月、3億6000万ユーロで中国の建設機械最大手の三一重工に買収されることになった。「相性は抜群だった」とプツマイスターのノルベルト・ショイヒCEOは言う。「普通は調整のためにリストラせざるを得ないが、今回は必要なかった」 両社のケースは、中国企業によるドイツ企業の買収合併では過去最大規模とされるが、そうでなくなるのも時間の問題だ。何せ中国投資家は今、ドイツ企業を買いあさっている。 特に人気なのが「ミッテルシュタント」──ヨーロッパで最も強く最も豊かなドイツ経済の主力となる中小企業で、その多くが家族経営だ。ミッテルシュタントはドイツの労働力の60%を雇用する「縁の下の力持ち」。ほとんどがニッチな技術や、地味だが(特に中国で)大きな需要のある製品を扱っている。 来は従業員250人以下で年商6000万ドル以下の企業をいうが、最近では従