妬みや劣等感は自他の比較によって生じる感情だ。サルにも時おり観察されるらしいが、ヒトに強烈に備わった心情といってよいだろう。となると、こうした心のルーツを探索する脳研究は、やはり、ヒトで実験する必要がある。最近の興味深い研究を紹介したい。 他者との比較が「不安」の回路を活性化 まずは、ロンドン大学キングス・カレッジのフリードリッチ博士らの研究から。彼は、女性たちがスリムなボディに憧れるメカニズムに着目した。 自分の身体に対する不満感は、先進国で育った女性に特に強い。これは取りも直さず、社会文化的な環境によって後天的に植え付けられた感情であることを意味している。いうまでもなく主因はメディアにある。ファッション誌やテレビなどに出てくる、極度に細い女性モデルのスタイルを、多くの一般女性たちは「よいスタイル」として理想化する。 ケヴィン・トンプソンは著書『Exacting Beauty』で、「女性