医薬基盤研究所(大阪府茨木市)とバイオベンチャー「リプロセル」(横浜市)は15日、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作成した肝臓細胞の製品化に成功したと発表した。12年春から販売する予定。心筋細胞と神経細胞はすでに商品化しているが、肝臓細胞は初めて。 リプロセルなどによると、体内に入った薬物は大半が肝臓で分解される。そのため製薬会社は新薬を作る際、臓器移植用に取られた肝臓から作った肝臓細胞を使い、新薬の効果や毒性を調べている。しかし、肝臓細胞は高価で、供給が不安定な欠点があるという。 今回作成した肝臓細胞は、ヒトiPS細胞を培養し、肝臓細胞に分化させる過程で入れる遺伝子のタイミングを工夫することで、効率良く作ることに成功、製品化が可能になった。500万~1000万個の細胞を20万~30万円で、製薬会社などに販売する予定という。【日野行介】