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ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (10)

  • ローズマリー・サリヴァン『スターリンの娘 「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯』 - 紙屋研究所

    スターリンの娘、スヴェトラーナ・スターリナあるいはスヴェトラーナ・アリルーエワの生涯を知ったとき、その激しさと寂しさに、複雑な思いがこみ上げてくる。 スターリンの娘(上):「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯 作者:ローズマリー・サリヴァン 白水社 Amazon 前半生は、ソ連体制下で母親をはじめ、親しい人々が自殺や迫害など次々と横死する。後半生は、ソ連の抑圧体制から逃れて亡命し、アメリカ移住するが、結婚離婚を繰り返し、著作によって手に入れた財産を失ってしまう。 後半生は必ずしも抑圧政治のもとでの不幸ではない。しかし、ソ連崩壊まではソ連当局やKGBの魔の手が絶えず彼女の行く手に現れ、そのことに怯える。 やがて、彼女は西側に幻滅し、ソ連に戻ってしまう。アメリカで生まれた娘・オルガとともに。しかし、そこでもまた彼女の望んだ幸福は得られない。彼女は再びソ連を出国し、アメリカの老人ホームで

    ローズマリー・サリヴァン『スターリンの娘 「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯』 - 紙屋研究所
  • 加藤聖文「日本にとって満洲支配とは何だったのか」 - 紙屋研究所

    「前衛」2021年10月号に載った加藤聖文へのインタビュー「日にとって満洲*1支配とは何だったのか」が実に分かりやすかった。 前衛 2021年 10 月号 [雑誌] 日共産党中央委員会 Amazon ぼくは、満洲に日から次々移民が送り出されたことは知っていたが、その理由は、「国内の農民が貧しく、それを反動的に打開するために満洲へ送り出し、開拓はもとより現地人の土地を奪った」ほどの理解であった。そして、「満洲は日帝国主義による朝鮮支配の後の、中国侵略のための第一歩である」というくらいの解像度の認識であった。 満洲支配が持っていた矛盾 加藤は、満洲支配がもともと持っていた矛盾を、おおむね次のように説明している。 ――そもそも日人が昔からいた土地でもなく、縁も薄いのに、日露戦争でさまざまな利権をロシアから奪い取ってしまい、経済活動が始まった。 日にとって、必然性のないところを取ってし

    加藤聖文「日本にとって満洲支配とは何だったのか」 - 紙屋研究所
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    R2M 2021/09/12
  • 「人権=思いやり」という洪水のような「教育」 - 紙屋研究所

    人権は道徳ではない、っていう、あの話だけどね。 fairs-fair.org 特にこの記事のこの部分。 谷口さんは「人権は道徳ではありません」と話す。 「人権啓発として『みんなで仲良くしましょう』というキャンペーンをよく見ます。これは裏返すと『仲良くできないのは市民の責任だぞ』と、政府は責任転嫁をしていると言えます。政府には人権を守る責務があり、そのための大前提として差別を禁止し、差別を受けたら救済をして、差別を未然に防止することが必要です」 マジでそう思うわ。 つうか、学校と自治体の人権教育が「人権=道徳=みんなで仲良くしましょう」で覆い尽くされていて当にヤバいと思う。その量・規模たるや洪水のようだ。 小学校の「人権学習参観」に行ってみればこれがベースでガンガン教えられているし、子どもたちに書かせる「人権標語」で最優秀に選ばれる作品はこのトーンばかりである。「広げよう えがお・やさしさ

    「人権=思いやり」という洪水のような「教育」 - 紙屋研究所
  • 松竹伸幸『慰安婦問題をこれで終わらせる。』 - 紙屋研究所

    このはひとことでいえば、慰安婦問題についての左翼による韓国批判である。日の右派がやる韓国批判では何の新鮮味もないだろうが、左翼、しかも「日帝国主義の植民地支配」と厳しく闘争してきた日共産党の元政策スタッフ(現在は退職している)がやる韓国批判なのだから、一度はのぞいてみたいと思わない方がおかしい。 シロウトの日国民にとっての慰安婦問題 いわゆる「慰安婦」問題は、「難しい」というのが第一印象である。定義やカテゴライズをよく知らないと発言できないような雰囲気がある。 たとえば 政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった という命題は正しいだろうか、正しくないだろうか。 「正しくない」が正解である。 なぜなら、インドネシアのジャワ島でのいわゆるスマラン事件中国・桂林での事件では、日側の公文書はなかったが、外国側の公文書(バタビア臨

    松竹伸幸『慰安婦問題をこれで終わらせる。』 - 紙屋研究所
  • 議事録に残るヤジのこと - 紙屋研究所

    都議会のヤジが問題になっている。 東京にいたころ、国会や都議会を傍聴した。国会のヤジは有名であるが、都議会のヤジもかなりひどかった。自民・公明がひどいという印象があって、共産が質問しているときは、聞き取れないこともしばしばあった。 ところが福岡市に来てびっくりしたのは、市議会でほとんどヤジがないことである。特に自民党・公明党は一言もヤジを発しない。きわめて「紳士・淑女」なのである。 というか、東京は総じて地方議会がヤジに寛容であった。 ぼくが初めてそのことに気づいたのは、議事録を読んでいるときだった。 議事録にほとんど残らない福岡市 実は、ヤジは議事録(会議録)に記録されることがある。 「発言する者あり」「……と呼ぶ者あり」などと記されているのがそれだ。 福岡市議会の場合は、これがほとんどない。 唯一あるのは 「異議なし」と呼ぶ者あり。 というフレーズだけである。 これが検索するといっぱい

    議事録に残るヤジのこと - 紙屋研究所
    R2M
    R2M 2014/06/27
    「だが、考えようによっては、これを「ニコニコ動画」のコメント、もしくはブログのコメント欄のようにみることもできる」ニコ生で中継してコメントを議会で表示するようにしたら、罵倒コメントがあふれるんだろうな
  • 義務や強制のない、自治会費ゼロの自治会をつくったよ - 紙屋研究所

    ※このエントリをきっかけにして、を出しました。 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784098252077 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20140921/1411290361 ごみ収集のサービス(の一部)を受けるには、自治会に加入しないといけないというこの話。 ゴミ収集は行政のサービスだろ? 元増田が引っ越した鹿児島のある自治体では、ごみをステーションに捨てようとしたら「お前は自治会に入ってないからこのステーションは使えない」と言われたというのだ。 元増田は、ごみ収集は自治体(市町村)の仕事なのだから、税金で支出されるべきで、自治会費負担をからませられてはかなわない、と主張する。これにたいして、はてブのコメントでは、 自治ってこういうことだろ、住んでる所によって行政サービスや経費が

    義務や強制のない、自治会費ゼロの自治会をつくったよ - 紙屋研究所
    R2M
    R2M 2013/07/29
    面白いけれど全国一律で導入して更に継続性があるかというと疑問符がつく。
  • 保阪正康・東郷和彦『日本の領土問題』 - 紙屋研究所

    2冊目くらいに読む ロシアとの領土問題交渉にあたってきた外務官僚・東郷和彦が日がかかえる3つの領土問題を解説しただといってよいが、ノンフィクション作家である保阪正康がそれに少々のツッコミをいれる対談を入れて共著の形をとっている。 いちおう3つの領土問題を簡単に解説していることになってはいるが、領土問題にはじめてとりくもうとしているシロウトからすると、いかにもテクニカルタームが多くて、読みづらい。前に紹介した松竹伸幸の『これならわかる日の領土紛争』(大月書店)のようなを1〜2冊読んだ後であれば、当事者の書いたものとして興奮を味わいながら読めるだろう。 不破のと対比させながら読むと味わい倍増 そういう前提でこのを読んだとき、やはり白眉は「北方領土」問題のところだといえる。 ぼくはこのを不破哲三の『千島問題と平和条約』(新日出版社、1998年)と対比させながら読んだ(および、2

    保阪正康・東郷和彦『日本の領土問題』 - 紙屋研究所
  • 湯浅誠の声明とインタビューへの違和感 - 紙屋研究所

    湯浅誠が内閣府参与辞任について述べた言葉や、 湯浅誠からのお知らせ: 【お知らせ】内閣府参与辞任について(19:30改訂、確定版) それをめぐって受けたインタビューに違和感がある。 特集ワイド:内閣府参与を辞任、湯浅誠さん 「入って」みたら見えたこと - 毎日jp(毎日新聞) もともとの意図を考えるとうなずけるものはある もともと、湯浅の辞任の言葉は誰に、どんなつもりで言った言葉なのかを考えながら読むといいと思うのだが、まず彼が内閣府参与になったことで政府の犬になったとか、梁山泊の末路状態みたいな受け取られ方をしたことに対して向けられた言葉ではないかと感じる。 湯浅が自分の掲げた要求や理想モデルのために、政府に参画すること自体は、十分にありうることだと思う。ぼくのような左翼だって、自分たちの言っていることを実現するために、部分入閣するなんて有り得る話だし、中央政府だけでなく、地方政治でもい

    湯浅誠の声明とインタビューへの違和感 - 紙屋研究所
    R2M
    R2M 2012/04/02
  • 「石破vs田中」は石破の負けでござる - 紙屋研究所

    田中防衛大臣が自民党の石破議員から質問をうけ、自衛隊の法的根拠を答えられなかったという。 田中氏はこの日も、防衛相というより国会議員としての資質さえ疑わせる基礎知識のなさを露呈した。 自衛隊の「合憲性」を憲法のどこで読み込むのか質(ただ)され、得意の棒読みで憲法9条をたどったのはよいが、「武力による威嚇と武力行使の放棄」をうたった第1項を読み上げただけで「国を守るために自衛隊がある」と結論づけた。 石破氏が諭すように第2項の「芦田修正」により自衛戦力の保持を禁じられないようにしたことを教えると「先生の知見を拝聴しながら、よく理解したい」と頭を下げた。(産経新聞2012年2月2日配信) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120202/plc12020220340025-n1.htm 別の報道では、「憲法9条で軍は持てないと書いてある。自衛隊とは何か

    「石破vs田中」は石破の負けでござる - 紙屋研究所
  • 原発と自動車 - 紙屋研究所

    原発に由来する放射線の影響を「小さく」感じさせる工夫は、昔からいろいろと考案されてきた。 自然放射線や医療被曝を引き立て役にもち出して他の被曝を「とるに足りない」と印象づける手法は、放射線の影響をできるだけ少なくしようという前向きの姿勢とは言い難いものです。私はこうした自己弁護的な姿勢を、「悪しき相対性理論」と呼んでいます。 (安斎育郎『原発 そこが知りたい 増補版』P.11) 最近よく聞かれるのは、自動車事故やがんの総数との比較だろうか。 国立がん研究センターがん対策情報センターの祖父江友孝がん情報・統計部長によると、100ミリシーベルトに短期間に被ばくした場合の発がんリスクはそうでない時の1・06倍。短期間に浴びると体内での遺伝子の修復が間に合わないが、同量を長期間かけて浴びた場合は修復機能が働き、リスクはさらに低くなるという。 もちろん危険性がゼロではない以上、被ばく量はできるだけ少

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