新吉原遊郭では劣悪な環境下で若くして亡くなった遊女も多く、近くの浄閑寺に投げ込み同然で葬られたという。寺には、遊女たちを慰霊する「新吉原総霊塔」がある=東京都荒川区で2021年3月、牧野宏美撮影 「わたしをはだかニして、あさまでねかさづニしばつておきましたよ」。幕末の新吉原遊郭である事件が起きた。遊女16人が共謀して自らが働く店に火を付け、直後に「自首」したのだ。最近になって事件に関わった遊女たちがつづった日記や裁判史料の研究が進み、日常的に暴力を受けていたことなど過酷な実態が明らかになってきた。遊女たちが残した日記を読み、新型コロナウイルス禍の遊郭跡地を歩くと、放火という重罪に手を染めてまで彼女たちが訴えようとした不条理が胸に迫ってきた。前編と後編(6日掲載)でお伝えしたい。【牧野宏美/デジタル報道センター】 「自分たちが火を付けた」遊女16人が訴え 東京都台東区。地図で確認すると、浅草