「もう体も心もズタズタだ」-。昨年のクリスマス、大手広告代理店「電通」の新入社員が自ら命を絶った。電通ではこの社員を含め、二十五年間で少なくとも三人が過労死しており、いずれも二十代、三十代の若手社員だ。国を挙げて長時間労働の是正に向けた取り組みが始まった直後の「電通ショック」。過労体質から抜け出せない日本企業の病理を探る。 「あのときの俺と一緒だ」。東京都内でITコンサル業を営む藤沢涼さん(37)は十月七日夜、電通の新入社員、高橋まつりさんの過労自殺のニュースを見て、パソコンのキーボードをたたく指が止まった。