西田幾多郎のノートの解読に取り組む林教授(右から3人目)と大学院生、研究者ら=京都市左京区・京都大 「善の研究」などで知られる哲学者西田幾多郎(1870~1945年)の未公開ノートの解読に、京都大文学研究科の大学院生や研究者が取り組んでいる。ドイツ語に英語、ギリシャ語といったさまざまな言語で書かれ、字の乱れも多い中、チームで西田の思想を追いかけ、将来的には出版を目指している。 「トルストイのスペルの最後はyと書いているのかな」。6月上旬、同科の林晋教授の研究室に大学院生と研究者の計5人が集まった。スクリーンには、西田の直筆ノートのスキャンと、大学院生が書き起こしたデータが並んで映されている。一字一句話し合いながら読み解く、気の遠くなるような作業だ。 未公開ノートは約50冊あり、2015年10月に西田の遺族から石川県西田幾多郎記念哲学館(かほく市)に預けられた。西田が教べんを取っていた京大も