[ARTIST IN FOCUS] 青柳菜摘:始まりの現象──「唯ブツ論⇄もの語り」の世界 詩や映像制作など、メディアを横断して活動するアーティスト、青柳菜摘。2022年の9月から12月にかけて、青森県十和田市のまちなか6ヶ所で映像インスタレーションを展示。青柳作品を見続ける松井茂が、実際にそれらの会場を回り、本人との対話を経て、その作品世界を論じる。 取材・文=松井茂(詩人、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]准教授) 東京都内の公園にて 撮影=トヤマタクロウ 物憂げで朴訥な声が語り始める。 中国に宋という王朝が あったとき、 まだ海の大きさは 今ほど想像しやすいものでは ありませんでした。 (青柳菜摘《望船》より) この語り方、ゴールを設定しているようには思えない。どこか不気味で即物的だ。青柳菜摘の作品を知る人にとっては、いつもの語りが始まったという印象を持つだろう。結論に向かってとめ
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