ブックマーク / blog.livedoor.jp/lunarmodule7 (16)

  • AlphaGoの論文解説とAIが人間を超えるまで - A Successful Failure

    2016年06月03日 AlphaGoの論文解説とAIが人間を超えるまで Tweet Google DeepMindによって開発されたAlphaGoが世界最強のプロ囲碁棋士の1人である李世ドルを4勝1敗で破ったことは世界に衝撃を与えた。現時点でAlphaGoは世界ランキングにおいて柯潔九段に次ぐ2位につけており、もし柯潔九段との対戦が実現すれば誰をも寄せ付けない孤高のトップに君臨することだろう。 もともと囲碁は将棋やチェスに比べて場合の数が膨大であり(チェス=10120, 将棋=10220, 囲碁=10360)、コンピュータには複雑すぎて人間よりも強くなるにはまだしばらくの時間がかかると見られていた。実際、将棋でプロを圧倒する実力を達成した(参考: コンピュータ将棋のトッププロを凌ぐ強さが確認されるまで)情報処理学会は、次の目標として囲碁を挙げていたところだった。最後に残ったグランドチャレ

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  • 地震の莫大なエネルギーを比較する - A Successful Failure

    2016年04月22日 地震の莫大なエネルギーを比較する Tweet 地震の規模を表わすマグニチュードはログスケールなので、小数点以下が少し異なっただけでも発生するエネルギーは何十倍も異なる。実際マグニチュードが1上がると、エネルギーは31.62倍にもなる。このことを理解していないと、地震に対して誤った認識をしてしまうおそれがある。 そこで地震の発生するエネルギーを具体的に把握するために、15ktの広島型原爆を比較対象として代表的な地震のエネルギーを図示してみた(クリックして拡大)。 1945年広島に投下されたリトルボーイの核出力はTNT換算で15kt(6.3×1013J)である。16万人もの死者を出した原爆はこの図で見ると当に小さな点でしかないことが分かるだろう。 現在米軍が運用しているICBM用の核弾頭W87は300kt、広島型原爆の20個分に相当する。技術進歩により核弾頭は小型・軽

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  • 全国高齢化マップに見る地方の老化 - A Successful Failure

    2015年12月16日 全国高齢化マップに見る地方の老化 Tweet 前回のエントリ『都道府県別世帯年収分布マップ』では世帯年収の地域的な分布を視覚化したが、平成22年国勢調査のデータに基づき全国自治体の平均年齢の分布を視覚化したものが次のマップである。 平均年齢50歳を境に青と赤に色塗り分けている。青のほうが若い地域であり、赤は年寄りの地域である(データが無い地域は無色)。マウスをポイントすると平均年齢、15歳未満/15~64歳/65歳以上/75歳以上/85歳以上の人口と構成比が分かる。上部のプルダウンメニューで都道府県を選択して地元の地域を見てみて欲しい(やはり15秒ほど待たされる)。 交通の便の悪い内陸部や沿岸部の平均年齢が高いことが一目瞭然だ。率直に言えば、田舎の平均年齢が高く、都市部の平均年齢は比較的低い。田舎では65歳以上が人口の半分を占める地方も珍しくなく、地域社会の存続が危

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  • 赤ん坊が死ぬことのない幸せな時代 - A Successful Failure

    2015年12月04日 赤ん坊が死ぬことのない幸せな時代 Tweet 前回のエントリ『人類は少子高齢化しました』において人類が少子・長寿化している事を示したが、これに大きく寄与しているのが乳幼児死亡率の劇的な改善だ。 次のVizは1800年から2015年までの200年間にわたる乳幼児死亡率の推移を示したものである。元データはGapminderのものだ。乳幼児死亡率は生まれた子供が5歳までに死亡する割合を表し、出生1,000人に対する死亡者数で表される。 1800年では乳幼児死亡率は世界のどこでも400程度だった。地図はすべて真っ赤である。10人に4人が死ぬ状況が絶対の自然の掟だった時代だ。 1900年になるとヨーロッパやオセアニアで減少が始まり、200を切る黄色く塗られた国が出現し始める。そして一気に死亡率は急落し、今や先進国では緑色の死亡率が10を切る状況だ。日の乳幼児死亡率は2.7。

  • 生活保護受給世帯は健康で文化的な最低限度の生活を送れているのか? - A Successful Failure

    2015年10月26日 生活保護受給世帯は健康で文化的な最低限度の生活を送れているのか? Tweet 前回のエントリにおいて被生活保護世帯数、保護費総額が近年急増していることを取り上げたが、こうした話をすると、働いている自分よりも保護費をもらっておいて贅沢するな、という意見が出てくる。そもそも生活保護受給世帯は贅沢する余裕があるのだろうか? 厚生労働省は平成22年に生活保護受給世帯の生活実態及び生活意識を把握し、今後の社会保障全般のあり方の検討を行うために、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査を行っている。今回は調査を元に生活保護受給世帯の生活実態を見てみたい。 贅沢とは程遠い生活保護受給世帯の生活実態 次のグラフは、生活保護受給世帯の状況を一般世帯の状況と比較したものだ。 赤いラインは全国消費実態調査の第1十分位相当世帯を表している。年間収入十分位階級は,世帯を収入の低い方から高い方

  • 科研費新規採択数から見る国内の研究分野別有力大学・研究機関 - A Successful Failure

    2015年09月05日 科研費新規採択数から見る国内の研究分野別有力大学・研究機関 Tweet 科研費とは文科省が主導する科学研究費助成事業の事を指し、国内では最も有名な競争的資金制度であり、科研費の取得が国内の研究者にとって研究費を得る一般的な手段となっている。日学術振興会は科研費の配分結果を公表しており、細目別の過去5年分の累計新規採択数の上位10機関を簡単に調べられるようにしたのが次の表である。研究分野毎にどの大学・研究機関で研究が主導されているか知る一助となるだろう。 右上のプルダウンメニューで研究分野を選択できる。テキストを直接入力すれば候補をフィルタリングする事ができるので、自分の興味のある分野を見てみてほしい。なお、機関毎に逆引きできるバージョンも作ったのでそれは次のエントリで紹介したい。 もちろん、科研費以外に研究費を得る手段は複数存在するし、採択数が研究のアクティビティ

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  • 樹木や都市を自在に創造するチカラ - A Successful Failure

    2011年08月21日 樹木や都市を自在に創造するチカラ Tweet 図1:樹木生成文法により自然でリアルな樹木が生育しているが、 上部から見ると制約条件として与えたSIGGRAPHのスペルが見える 今年もSIGGRAPHが開催された。そこで今年もSIGGRAPH発表論文の中から幾つかピックアップしてblogで紹介したい*1。エントリで紹介するのは、スタンフォード大学の研究グループによるMetropolis procedural modelingだ*2。 高品質の3Dモデルを構築する作業は、数多くの研究成果のおかげでかなり簡略化がなされてきたとは言え、まだまだ困難であり、熟練したクリエイターでも数百時間という長い時間を必要とする。より簡単に3Dモデルを構築することを目的として、手続き型モデリング手法が提案されてきたが、研究は現時点における一つの解を与えるものだ。感覚的にはPhotos

    SavingThrow
    SavingThrow 2011/08/22
    "モデリング工程を文法から生成空間の確率的推論問題に定式化する。所望モデルのハイレベル記述から、生成オブジェクトと記述の間の類似度を定量化する目的関数を定義し、最大化するよう生成空間全体を最適化する。 "
  • パラサイトヒューマン:ユーザに寄生する共生型コンピュータ - A Successful Failure

    2011年07月01日 パラサイトヒューマン:ユーザに寄生する共生型コンピュータ Tweet コンピュータが人に寄生し、人の行動に影響するようになる、と聞くとぎょっとする人がいるかも知れない。パラサイトヒューマン(PH: Parasitic Humanoid)は、人間と共生関係を形成する新たなマンマシンシステムである。 PHは大阪大学の前田太郎教授がライフワークとして推進している研究だ*1。3月の震災翌々日に日で開催されたAugmented Human 2011*2に於いてその成果が発表されたので、エントリでは論文*3に基づいて、パラサイトヒューマンのコンセプトについて紹介したい。過去のエントリで取り上げた人間を意のままにコントロールする人間リモコンは、コンセプト実現の一部を担う技術である。未来の人間とコンピュータの関係について考える刺激となるアイデアであり、実現が楽しみな研究の一つ

    SavingThrow
    SavingThrow 2011/07/02
    "宿主であるユーザの体験を全てを記憶すると共に、ユーザの知覚系に働きかけ、錯覚を用いてユーザの行動を誘導する。扱う情報はネットワークを通して時間と空間を超えて共有可能で、スキルの交換などが実現できる。"
  • 原子力発電のコストは本当に安いのか? - A Successful Failure

    2011年04月30日 原子力発電のコストは当に安いのか? Tweet 「原発は経済問題である」との主張があるように原発推進の理由としてその低コスト性が挙げられてきた*1。次の図は原子力2010 [コンセンサス]*2における各種電源の発電比較である。 たしかにこの図によれば、原発は低コストに見える。しかし、ほんとうに安いのだろうか? この疑問に対して、立命館大学の大島堅一教授が社会的費用論の観点から、トータルコストに関する試算を行い、第48回原子力委員会定例会議における「第7回原子力政策大綱の見直しの必要性に関する有識者ヒアリング」の場で報告している。 原子力政策大綱見直しの必要性について 費用論からの問題提起(立命館大学国際関係学部教授 大島堅一氏) 第48回原子力委員会定例会議議事録 この資料はよく参照されるが、その妥当性について批判も多い。エントリでは建設的な議論の叩き台とすべく

  • MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説 - A Successful Failure

    2011年03月14日 MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説 Tweet エントリの内容は現時点では古く、誤りを含んでいます。 追記内容を確認ください。 3月16日追記 こちらの告知によれば、MITのDr. Josef Oehmenのポストがもたらした関心に対して応え、タイムリーで正確な情報を提供する必要性(彼は原子力の専門家ではなく、元ポスト(エントリ内容)にはいくつかの重大な誤りが含まれていることが指摘されている)から、MITのチームが活動を開始している。オリジナルのblogはMIT原子力理工学科(Department of Nuclear Science and Engineering (NSE))のスタッフからなるチームによって運営されているMITサイトにマージされ、誤りを修正した改訂版が提供されている。最新の状況に沿った専門家によるより正確な

  • MovieReshape: ビデオ内の人物のプロポーションを自在に操る - A Successful Failure

    2010年12月16日 MovieReshape: ビデオ内の人物のプロポーションを自在に操る Tweet 図1: MovieReshape いよいよSIGGRAPH Asia 2010が韓国で開催されるが、今年の発表の中で最も面白いものの一つがエントリで紹介するMovieReshapeだ*1。MovieReshapeは動画中に登場する人物のプロポーション(身長、体重、胸囲、ウェスト、足の長さ、筋肉量)を自在に変更できる手法であり、その効果は一目瞭然だ。手法としてはモーフィング可能な3Dモデルをビデオ内の人物に適合させ、3Dモデルのプロポーション変形に合わせてビデオを修正するというもので、変更自体はインタラクティブに行える。まずは動画を見てみるのが早いだろう。エントリでは論文を参照しつつ、MovieReshapeについて紹介したい。 背景 写真や動画におけるリタッチはもはや当たり前に行

    SavingThrow
    SavingThrow 2010/12/16
    "3GHzのCore2Duoで、単視点シーケンスから姿勢のトラッキングに要する時間は9秒、複数視点シーケンスの場合は22秒。(1度だけでよい)+ユーザのパラメータに応じて動的再形成後のビデオは1フレーム当たり約20msで出力。"
  • 山中俊治教授「デザインと身体」ノート - A Successful Failure

    2010年11月14日 山中俊治教授「デザインと身体」ノート Tweet 前回に引き続き、11月3日に秋葉原UDX マルチスペースで開催された第三回インタラクションデザイン研究会(SIGIXD)から、山中俊治慶応大学教授(@Yam_eye)による「デザインと身体」についてまとめたい。こちらは専門から外れることもあり、ほとんど講演のままとなっているが、各図表はリンクしている山中教授のblogサイト山中俊治の「デザインの骨格」等からの引用である。講演内容自体は、こちらでUST録画が公開されているので確認して欲しい。 自己紹介 学生の頃2年間ぐらい漫画ばっかり描いていた時期があった(それで卒業に6年かかった)。そのころ人間の身体ばっかり描いていたことが、自分のデザイン上重要だと思う。下の漫画は雑誌AXISのために2007年に書き下ろしたモノ。 学生の頃はスポーツ漫画ばかり描いていた。漫画家になろ

  • 暦本純一教授「デザインの身体性 身体性のデザイン」ノート - A Successful Failure

    2010年11月08日 暦純一教授「デザインの身体性 身体性のデザイン」ノート Tweet 11月3日に秋葉原UDX マルチスペースで開催された第三回インタラクションデザイン研究会(SIGIXD)では、大変興味深い講演、質疑応答が行われた。エントリでは、東京大学暦純一教授(@rkmt)による「デザインの身体性 身体性のデザイン.Augmenting Real, Augmenting Humans」についてまとめたい。なお、エントリは講演テキストではなく、必要に応じて改変、注釈の付与等を行ったノートである。講演内容自体は、こちらでUST録画が公開されているので確認して欲しい。なお、エントリ中で掲載している図表は全てリンクを示している、各論文、紹介ページからの引用である。 一番伝えたいこと Augmented Human、つまり人間をテクノロジで拡張できるとしたらどうなるか。 究極の

  • 清水女流王将 vs コンピュータ: 世紀の対局を楽しむために - A Successful Failure

    2010年10月11日 清水女流王将 vs コンピュータ: 世紀の対局を楽しむために Tweet いよいよ日10月11日、清水市代女流王将とコンピュータ将棋「あから2010」の世紀の対局が行われる(情報処理学会-コンピュータ将棋プロジェクト、駒桜 | 女流棋士会ファンクラブ)。平手一番勝負、持時間各3時間のガチンコ勝負である。清水女流王将はタイトル獲得合計43期の歴代1位の記録を保持する女流棋士の第一人者であるが、「あから2010」の相手は少々荷が重いとする意見が大半のようだ。 情報処理学会によれば、「あから2010」は次のようなシステムだ。 情報処理学会の「トッププロ棋士に勝つ将棋プロジェクト」特製システム 阿伽羅(あから)は10の224乗という数を表し、将棋の局面の数がこの数に近いことに因んで命名された ハードウエア部 -東京大学クラスターマシン: -Intel Xeon 2.80G

  • 綱引きで必ず勝利をもぎ取る方法 - A Successful Failure

    2010年10月03日 綱引きで必ず勝利をもぎ取る方法 Tweet 運動会シーズンである。体育の日に向けて全国各地の学校で運動会が開かれていることだろう。運動会において綱引きは極めてメジャーな競技であり、どこの小学校でもきっと行われているに違いない*1。しかし、実はこの綱引きにはコツがあり、そのコツさえ知っていれば、実力差のある対戦相手にも簡単に勝つことができるのだ。はっきり言って、卑怯なほど強くなる。 綱引きは基引っ張り合いなので、物理学の原則に従えば、体重の重いほうが有利だ。そのためもしメンバを自由に選ぶことができるのならば、体重の重い順に選ぶべきである。メンバが固まったら、あとは以下に示す2つの原則をしっかり守れば、勝利は揺ぎ無い。 背の高い順に並ぶ 図1:原則1 よくあるのが出席番号順などでバラバラに並ぶ方法だ(図1a)これでは、ロープがうねってしまい、力の方向が分散してしまう。

  • 折り紙と3Dモデルの邂逅: ポップアップ型ペーパークラフト自動生成手法 - A Successful Failure

    2010年09月24日 折り紙と3Dモデルの邂逅: ポップアップ型ペーパークラフト自動生成手法 Tweet 図1: ペーパークラフト作例 日で古くから親しまれている折り紙。最近もはてなブックマークニュースで様々な折り紙が紹介されており、紙から折り出される無限の可能性を感じることができる。 折り紙に関する研究は結構盛んに行われており、折り紙幾何学を扱った集大成的なテキストとしてはGeometric Folding Algorithms: Linkages, Origami, Polyhedraが挙げられる*1。東京大学の舘助教は任意の多面体を折りだす折り紙を自動的に生成するアルゴリズムを提案している*2。曲線を許す折り方に関しても研究がなされている*3。紙の切断を許すとさらに形状は複雑となるが、今後その方面の研究も進むと見られる。 今回のエントリで紹介するのはSIGGRAPH 2010で発

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