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ブックマーク / jtsutsui.hatenablog.com (7)

  • 社会学と因果推論 - 社会学者の研究メモ

    8月に入ってからのICPSR統計セミナー、ゼミ合宿、データクリーニング合宿、数理社会学会という怒涛のイベント+出張シリーズが一段落したので、ひさびさに更新します。 先日行われた第56回数理社会学会の新規会長(近藤博之先生)の講演のタイトルは、「ハビトゥス概念を用いた因果の探求」というものでした。そして(すでに論文として発表されている)2年前に行われた前会長の石田浩先生の講演は「社会科学における因果推論の可能性」というものでした。近藤現会長が狙ったのかどうかは不明ですが、両者とも社会科学あるいは社会学における因果関係の位置づけについて極めて示唆的なものです。 石田先生の講演では、ラザーズフェルドのelaborationの考え方から始まり、60年代後半から70年代にかけての回帰分析時代、その後のパネルデータ分析の隆盛、そしてルービンらの反実仮想的な枠組みに至るまで、計量社会科学における因果関係

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    Schuld 2013/09/03
  • (非計量さん向けの)統計学の話:バイアス編 - 社会学者の研究メモ

    (今回はですます調でいく。いや行きます。) まずは、私の後輩や知人たちが書いたです。↓ エスノメソドロジー―人びとの実践から学ぶ (ワードマップ) 作者: 前田泰樹,水川喜文,岡田光弘出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2007/08/03メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 1,065回この商品を含むブログ (99件) を見る このなかに、次のような文章があります。 どのような研究に対しても、その主張の妥当性を、そこで採用されている方法と無関係に論じることはできません。だから、「事例の数」やそこから得られる「一般性」を問う前にまず、ある研究が明らかにしようとしていることが、そもそも事例の数によって保証される種類のものなのかどうかということ自体を考えなくてはなりません。 このことは言ってみれば「当然」のことなのですが、研究者の間ではあまり考えぬかれていない重要な論点

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    Schuld 2011/06/28
  • 社会学にとって理論とは何か - 社会学者の研究メモ

    「理論と実証」について考えるときに、しばしば忘れられてしまうのは、理論と実証以前に、その両者に意味を与えるもっと大事なことがある、ということです。それは「問題関心」です。そして多くの実証研究は、この問題関心から出発しています。階層研究であれは公平性、都市研究であればコミュニティの価値、などが一例になるでしょう。そういった(根的には日常の社会生活に根ざしている)問題関心があるからこそ、それに関わる問を立て、答えていくという研究活動が成立するわけです。ほとんどの実証研究はこの枠組みに沿って行われているはずです。(そうではないものはちょっと想像しにくい。) 要するに、研究は実証するために行うものではありません。理論を構築するために行うものでもありません。理論を実証するために行うものでもありません。特定の問題関心から発する問いに、説得力をもって答えるために行うものです。(だから、日常的なコミュニ

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    Schuld 2010/05/22
  • 構造と制度 - 社会学者の研究メモ

    教科書ネタです。 研究指導していると、たまに基用語を再確認する必要が出てくるときがあります。制度と(社会)構造という言葉は研究者によって微妙に使い方が異なるにも関わらず、社会科学系の研究ではしばしばクリティカルな位置を占めていることもあり、こういった用語を使用するときはそれなりに予め整理をしておくとその後の考察が進みやすくなると思います。 整理 社会科学の用語については厳密な定義をしようとしてもあまりいい方向には行かないので、抽象的概念については、一般向けの書籍や新聞などでの使われ方(できれば非専門家の人にもあまり違和感がないもの)を意識して整理をすればいいかと思います。 たとえば私たちは一国の第三次産業比率などをさして「産業構造」という言い方をよくしますが、対して「産業制度」という言い方は単独ではほとんどしません。後者は、例えば「水産業制度」というように、特定の産業界の中で通用している

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    Schuld 2010/05/13
  • なぜ経済学には権力という概念がないか - 社会学者の研究メモ

    (今回の議論はたぶん、かなり穴があります。ご承知おきを。...ってブログの記事はそもそもそういうものか。) 経済学に権力という概念が全くないわけではないと思うのですが、社会学ほどは目立たない概念でしょう。なぜでしょうか。 このことは、権力の定義を考えると自ずと見えてくるのではないでしょうか。まず手始めにWikipediaをみてみましょう。 権力(けんりょく、ドイツ語 Macht、英語 power)は、何らかの物理的強制力の保有という裏づけをもって、他者をその意に反してでも服従させるという、支配のための力のことである。権力者とは、そうした権力を独占的に、あるいは他に優越して保有し、それを行使する可能性をもつ者を言う。(権力:Wikipedia) ウェーバー的な定義ですが、日常的定義(人々が権力という言葉でどういった状態を指しているか)としてはこんなもんで十分なんじゃないでしょうか(フーコーの

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    Schuld 2009/11/28
  • 経済学と社会学 - 社会学者の研究メモ

    前回のエントリは自分で読んでも不親切なような気がしますので、ちょっと補足しておきます。まず、経済学のモデルが規範的かどうか(効率性という価値基準からの政策決定のモデルをもっぱら意図しているか)ですが、もちろん違うという意見もあるかと思います。最近話題になったレヴィット(S.Levitt)の"Freakonomics"なんか、最初から「経済学にはこんな説明力があるんだよ」ということを示そうとしています。(中絶と犯罪率の関係なんて、すごく社会学的な研究関心です。)新制度派の一人で先にノーベル経済学賞をとっているノースD.Northも、規範的モデルではなく歴史的説明を重んじています。とはいいつつも、他の学問に比べれば格段に規範的だし、「その研究にはどういう政策的含意があるの?」と聞かれる頻度も他の学問よりは多いでしょう。 Freakonomics: A Rogue Economist Explo

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    Schuld 2009/11/11
  • グラノベッターのウィリアムソン批判 - 社会学者の研究メモ

    Granovetter, Mark. 1985. Economic Action and Social Structure: The Problem of Embeddedness. AJS 91(3): 481-510. 09年のノーベル経済学賞を受賞したO.ウィリアムソンの組織論(市場/ヒエラルキーモデル)に対するM.グラノベッターの批判が展開された論文。ウィリアムソンはR.コース以来の取引費用論を受けついだ、新制度派の代表的経済学者です。グラノベッターは社会学者なら知らない人はいないでしょうが、有名な「弱い紐帯」論に代表される、いわゆる構造分析(structural analysis)の提唱者の一人です。(他にはバート、マースデン、ウェルマンがいる。)同論文は『転職』に日語訳もあります。ウィリアムソンのノーベル賞受賞を記念して(?)、実は珍しい社会学者からの経済学モデル批判のこの論

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    Schuld 2009/11/11
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