兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、現場の線路脇に残った脱線跡について、JR西日本は6日、遺族の感情に配慮し、保存することを決めた。同社は昨年、脱線跡の上に砂を敷き、さらにコンクリート板を乗せて作業用通路にしたが、遺族から保存を求める声が上がっていた。 車体の一部がアスファルトの地盤の上につけた傷とみられ、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の最終報告書(07年6月公表)にも位置や写真が記録された。 同社が6日未明、板や砂を撤去したところ、報告書の写真とほぼ同じ状態で残っていたという。長さは約1.3メートルだった。今後、痕跡が劣化しないよう保護策を検討する。 この日、確認に立ち会った遺族は「傷跡にふたをしたようなJRの対応には怒りを感じる。遺族は10年、20年先も事故を伝え続けられるかわからないが、傷跡は伝えてくれる。永久に保存してほしい」と話した。【小林祥晃】 【関