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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (12)

  • 温暖化に動植物はどう対応してきたのか?──『温暖化に負けない生き物たち:気候変動を生き抜くしたたかな戦略』 - 基本読書

    温暖化に負けない生き物たち:気候変動を生き抜くしたたかな戦略 作者:ソーア・ハンソン白揚社Amazon気候変動で地球がヤバいとは近年しきりに言われるところである。温暖化で人類の生活が苦しくなるだけならまだしも、それ意外の動植物たちは環境に翻弄されなすすべもなく絶滅してしまう──かといえばそうともいえず、意外と移動したり適応したり避難したり進化したり、様々な形で「生き延びる」動植物がいる。 書『温暖化に負けない生き物たち』は、気候変動によって「絶滅していく動物」ではなく、むしろ急速に変化していく環境に、現在の動植物が「いかに適応してきたのか」を解き明かしていく一冊だ。現在の推定によればい驚くべきことに”すべての”生物種の25〜85%が、その分布を移動させているという。 それだけの数の生物が一斉に移動すると生態系にはどのような変化が起こり得るのか? 生態系は一種のみで成り立っているわけではな

    温暖化に動植物はどう対応してきたのか?──『温暖化に負けない生き物たち:気候変動を生き抜くしたたかな戦略』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2024/03/04
    雷鳥みたいに、これ以上移動できない生物もいるんよね。海洋の酸性化はもっと影響大。/気候変動という呼び方に変えたのは、温暖化なのに今年は寒かったとかいうアホがいたからなんだけど、変えてもアホは理解できな
  • 「能動的に行動する能力」はいかにして生まれ、進化してきたのか──『行為主体性の進化:生物はいかに「意思」を獲得したのか』 - 基本読書

    行為主体性の進化:生物はいかに「意思」を獲得したのか 作者:マイケル・トマセロ白揚社Amazonこの『行為主体性の進化』は、認知科学が専門のマイケル・トマセロによる、「行為主体性」について書かれただ。霊長類や他の哺乳類はアリやハチといった昆虫と比べると「知的」であるようにみえる。しかしその知的さをどのようにはかるべきだろうか。もちろん、これについては行動の複雑さなど無数の尺度が考えられるだろうが、書ではその知的さの違いを「行動の制御」に見出していく一冊だ。 たとえば、アリやミツバチの行動は、それがどれほど複雑であっても個体がすべてをコントロールしているようにはみえない。彼らの行動を主に制御しているのは個体の判断ではなく生物学的機制(バイオロジー)である。一方の霊長類や他の哺乳類は、ある程度は自分のコントロールにおいて、情報に基づく決定を能動的に下しているようにみえる。これに関連して出て

    「能動的に行動する能力」はいかにして生まれ、進化してきたのか──『行為主体性の進化:生物はいかに「意思」を獲得したのか』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2023/11/10
  • 欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書

    未来省(The Ministry for the Future) 作者:キム・スタンリー・ロビンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『未来省』は、『レッド・マーズ』、『グリーン・マーズ』、『ブルー・マーズ』の三作からなる火星三部作や『2312 太陽系動乱』などで知られるキム・スタンリー・ロビンソンが2020年に刊行した気候変動SF長篇だ。キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。 最初に概要と総評を紹介する 近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米で伸びているジャンルだが、作は数あるcli-fiの中でもとりわけ大

    欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2023/09/22
    氷河に水を撒くのは多分うまくいかない。水の流れで氷河を削り、逆効果になるだろう。
  • オールドスタイルなスペースオペラの土台に宇宙のすべてが乗っかった、圧巻のオープンワールドRPG──『Starfield』 - 基本読書

    store.steampowered.com ベセスダの新作ゲーム『Starfield』、XboxGamePassに加入してプレミアム・エディションを追加購入した人は9月1日からプレイできた。現時点で35時間ほどプレイし、各勢力のミッションもいくつかたしなみながらメインミッションも一応クリアしたので、いったんファーストインプレッションとして感想を残しておきたい。 最初にざっとした総評 結論からいうと間違いなくベセスダのオープンワールドRPGであり、他スタジオが作ったオープンワールドRPGからは摂取できない栄養がここにはある。『Skyrim』と『Fallour4』をあわせたよりも多いセリフ量があり、8年の月日がかけられた。数多くの勢力が入り乱れるさなかに次々と道徳的に曖昧な選択を迫られ、それが世界に不可逆の変化をもたらす──そうしたSkyrimやらFalloutシリーズやらでこれまで散々味わ

    オールドスタイルなスペースオペラの土台に宇宙のすべてが乗っかった、圧巻のオープンワールドRPG──『Starfield』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2023/09/08
    オールドスタイルなスペースオペラというと、キャプテンフューチャーかな?
  • 生命の定義について、宇宙生物学からヒト脳オルガノイドまで幅広く扱われた一冊──『「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち』 - 基本読書

    「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち 作者:カール・ジンマー白揚社Amazon「生きているものといないもの」を見分けるのは、直感的には簡単に思える。たとえば、人間や犬が生きていること、石のような無機物が生きていないことにそう異論は出ないだろう。しかし厳密に境界線を引こうとすると、ことは途端に難しくなる。 たとえば「自己複製するか」「自分で代謝活動を行うか否か」あたりの細胞性生物の特徴を「生命の定義」にしようとしても自己複製しかできないウイルスは生物とはいえないのかという話に繋がってしまう。しかも、ウイルスは近年の研究ではタンパク質の合成に関わる酵素を持つものもいることも判明している。 というわけで書『「生きている」とはどういうことか』は、生命の定義を様々な分野、ジャンルを通してみていこう、という一冊である。最初に例にあげたウイルスは生物なのか問題も取り上げられ

    生命の定義について、宇宙生物学からヒト脳オルガノイドまで幅広く扱われた一冊──『「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2023/07/06
    オルガノイドの話って、生きているかどうかというより、意識があるかどうか、だよね。明らかに生きていないコンピュータにも意識は生まれる可能性あるし、生命と意識は切り離した方がいいのではと思う。
  • 思念言語を使う異星人と人間の通訳官が、殺人事件に巻き込まれるSFミステリ長篇──『人類の知らない言葉』 - 基本読書

    人類の知らない言葉 (創元SF文庫) 作者:エディ・ロブソン東京創元社Amazonこの『人類の知らない言葉』はイギリスの作家にして〈ドクター・フー〉などの脚も手掛けるエディ・ロブソンによる、2022年に刊行されたSFミステリ長篇だ。近未来、テレパシー(思念言語)を用いて会話するロジ人が地球にやってきた世界を舞台とし、ロジ人と人間の通訳を務める女性のリディアを主人公に物語は進行していく。 緒賀岳志さんの装画もよく、装丁が全体的にかっこよかったので(あと、全米図書館協会RUSA賞のSF部門受賞作でもある)そこそこ期待して読み始めたが、これはおもしろかった! なにか具体的に突き抜けた点があるわけではないのだけど、異星人通訳という特殊な仕事の困難さをはじめとしたひとつひとつの描写や演出が丁寧で、作家の素晴らしい技術をみせてもらえたな、と安心して読めるエンタメ作品だ。 世界観、あらすじなど 最初に

    思念言語を使う異星人と人間の通訳官が、殺人事件に巻き込まれるSFミステリ長篇──『人類の知らない言葉』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2023/05/19
  • グレッグ・ベアの傑作&代表的中篇が二つまとまった記念碑的一冊!──『鏖戦/凍月』 - 基本読書

    鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】 作者:グレッグ・ベア早川書房Amazonこの『鏖戦/凍月』はハードSFの巨匠にして『ブラッド・ミュージック』などの著作で知られるグレッグ・ベアの代表的中篇二つをまとめた一冊になる。グレッグ・ベアは1951年生まれの作家で、今の作家とはいい難い。ではなぜ今新しいが出たのかといえば、昨年の11月に亡くなり、今月発売のSFマガジンでグレッグ・ベア追悼特集(小特集だけど)をやっているタイミングだからだ。つまり、記念碑的一冊である。 古い時代の作家とはいえ、僕は個人的にグレッグ・ベアという作家とその作品が大好きだ。最先端の科学とテクノロジーを貪欲に吸収し、それを壮大で独特なヴィジョンに仕立て上げてきた作家で、傾向としては今話題の『火星の人』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のアンディ・ウィアーなどと近い。それなのに、ほとんどの作品は絶版になって買うこともできな

    グレッグ・ベアの傑作&代表的中篇が二つまとまった記念碑的一冊!──『鏖戦/凍月』 - 基本読書
  • 人工知能とボットに仕事の大半が代替され、多くの人間が薬物を服用し能力を向上しながら労働するようになった世界──『マシンフッド宣言』 - 基本読書

    マシンフッド宣言 上 マシンフッドセンゲン (ハヤカワ文庫SF) 作者:S B ディヴィヤ早川書房Amazonこの『マシンフッド宣言』は、インド生まれのアメリカ人作家S・B・ディヴィヤの第一長篇となる。21世紀の近未来を舞台に、人工知能とロボットに人間の労働の大半が代替されてしまった、人類が陥ることになる過酷な姿を描き出していくテクノロジーSFだ。作のように、労働が代替されたら人類はハッピーに毎日遊びながら暮らしているんじゃないの? と思うかも知れないが、そんなことはまるでない。 作の世界では人間は人工知能とロボットから仕事を取り戻すために、自分の認知・身体能力を向上させる薬物を摂取しながら労働を行っている。中にはいわゆるサイボーグのように自分の体を機械に置き換え肉体を改造するものもいるが、作では『そもそも、だれもサイボーグになりたがっていない』として多くの人が積極的に取る手段として

    人工知能とボットに仕事の大半が代替され、多くの人間が薬物を服用し能力を向上しながら労働するようになった世界──『マシンフッド宣言』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2022/12/01
    インドでSFというとどうしても『ロボット』を思い出してしまう。
  • 飼い犬が野生に放り出された時、何が起こるのか?──『犬だけの世界:人類がいなくなった後の犬の生活』 - 基本読書

    犬だけの世界: 人類がいなくなった後の犬の生活 作者:マーク・ベコフ,ジェシカ・ピアス青土社Amazonイヌを飼ったことがある人たちは家庭内で一度は、腹を出してごろんと寝ているイヌを眺めながら「これじゃあ(野生を失ってしまった家庭犬じゃあ)絶対野生には戻れないね/野生に戻ったらすぐ死んじゃうね」という話をしたことがあるだろう。 実際、毎日飼い主からご飯をもらい、散歩にいきたくなればワンと吠えて連れて行ってくれ、基日中は惰眠をむさぼる。そんな彼らの姿をみていたらこいつは野生じゃやっていけねえやと思うのも仕方がないが、実際問題どうなのか。突如として人間がいなくなり(核戦争などだとイヌも死んでしまうので宇宙人に丸ごと持っていかれるとかの理由で)、犬だけが取り残された時、その時彼らはやっていけるのか。 そんなSFのような事態を想像し、専門家たちの意見を収集しながらノンフィクションとして描き出した

    飼い犬が野生に放り出された時、何が起こるのか?──『犬だけの世界:人類がいなくなった後の犬の生活』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2022/11/10
    「そんなSFのような事態」シマックの「都市」だな。
  • ある日を境に誰も死ななくなった社会で、何が起こるのか?──『だれも死なない日』 - 基本読書

    だれも死なない日 作者:ジョゼ・サラマーゴ河出書房新社Amazonこの『だれも死なない日』は、ある都市の住人ほぼ全員がなぜか突如として失明してしまった状況を描き出す『白の闇』などで知られる、ノーベル文学賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴによって2005年に刊行された作品である。こちらは、『白の闇』と同じく通常ありえない特殊な状況を通して思考実験的に社会を描き出していく作品で、こちらのテーマは、「人から死が奪われたら何が起こってしまうのか」である。 あらすじなど 作は『翌日、人はだれも死ななかった』という印象的な一文から始まる。人間、いつ死ぬかは正確にはわからないとはいえ、いずれ死ぬのは間違いないので、一定以上の人間が居住している都市・国であれば、統計的には毎日一定の人間が死に続ける。それが、新年の1月1日を境に誰も死ななくなるのである。致死的な事故も、病気も、誰の命も奪わない。それはいったいど

    ある日を境に誰も死ななくなった社会で、何が起こるのか?──『だれも死なない日』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2021/09/29
    全身ミキサーにかけた様に切り刻んでも死なないの?
  • ヒューゴー、ネビュラ、ローカスと主要SF賞を総なめにした、エモーショナルな往復書簡時間SF──『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 - 基本読書

    こうしてあなたたちは時間戦争に負ける (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:アマル・エル=モータル,マックス・グラッドストン早川書房Amazonこの『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』は、アマル・エル=モータル、マックス・グラッドスト二人の共作による、詩的な時間SFである。英語圏における小説の長さの基準的にはノヴェラ(中編)で、書も240ページほどとコンパクトだ。 エモエモ往復書簡時間SF 作がぱっと見で凄いのは、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞と賞的な評価が異様に高いところにある。賞の評価がどれほど高かろうが作品の中身の質の保証にはならないわけだけれども、それなりに期待して読み始めたら、これがたしかにおもしろかった。あらすじとしては、《エージェンシー》と《ガーデン》という二大勢力が時空の覇権をかけて争う──といった感じで、何の新鮮味もない。 だが、実際には

    ヒューゴー、ネビュラ、ローカスと主要SF賞を総なめにした、エモーショナルな往復書簡時間SF──『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 - 基本読書
  • 幽霊を見るとき実際には何を見ているのか──『幽霊とは何か──500年の歴史から探るその正体』 - 基本読書

    幽霊とは何か──500年の歴史から探るその正体 作者: ロジャー・クラーク,桐谷知未出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2016/07/25メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書名だけだとどういうなのか掴みきれず、おそるおそる読み始めたのだが、第一章の最後を『これは、幽霊が存在するかどうかについてのではない。わたしたちが幽霊を見るとき実際には何を見ているのか、どんな物語を伝えあってきたのかについてのだ。』と締めており「これなら安心して読めるな」と読み進めた次第である。 書は副題にもある通り、おおよそ500年の歴史の中「イギリスで」、どのように幽霊があらわれ、人々がそれを体験してきたのかが語られるイギリスの幽霊史といった感じのである。とはいえ幽霊はいつの時代にもいる。古代ギリシャの幽霊はぼんやりとした影のようなもので生者に影響を及ぼす力はなかったし、王政復古

    幽霊を見るとき実際には何を見ているのか──『幽霊とは何か──500年の歴史から探るその正体』 - 基本読書
    Sinraptor
    Sinraptor 2016/10/14
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