アルバムのセールス記録やメディアの取り上げ方から判断して、倖田來未は現在の日本において、「トップの」女性歌手である。1960年代後半以降、トップスターの仲間入りを果たすということはエンターテインメント界のヒエラルキーの中でも最も活発に活動できるポジションを獲得したことを示す。ポップミュージックの女王の座に君臨して数ヶ月、彼女は極端な広告露出、カルチャーシーンにおける強大な影響力、世の男たちのハートをくすぐるセックスアピール、次々と変わっていく音楽シーンでの確固たる地位、といったスターの特権を享受しはじめた。同じような例としては、沖縄出身のダンスユニットでデビューした歌手・安室奈美恵が挙げられる。彼女の1990年半ばにおける知名度の高さは、音楽界のみにとどまらなかった。というのも、曲がヒットしたことで彼女は全国の女子高生による「茶髪・ミニスカ現象」という革命的なムーブメントの先導役も果たして