─改めてお聞きしますが、先生はコーポレート・ガバナンスをどのように定義されますか? 嶋口●企業の経営陣にしてみれば、自分たちが汗水流して成長させてきた会社ですから、自分たちの好きにしてよいものと考えてしまいがちです。日本企業の経営者たちはこれまで、少なからず、そのような錯覚の虜になってきたのではないでしょうか。もちろん、 オーナーが経営者を兼任している場合は、そうした考え方はあながち間違いであるとはいえません。しかし、そうであっても、会社の成長は自分たちの力だけではなく、多くのステークホルダーに支えられて実現できているわけです。そのため、株主に対するだけでなく、従業員に対しても、地域社会に対しても、また顧客に対しても責任を有する経営陣が、自分たちのために好き勝手に企業を経営することは許されないわけです。そこで、株主や顧客、従業員などの視点も考慮したうえで企業を経営するという考え方がコーポレ