投資家に、夏休み用の推薦図書をご紹介する。『なぜグローバリゼーションで豊かになれないのか』(北野一著、ダイヤモンド社)がおもしろい。北野氏はJPモルガン証券のストラテジストの職にあるが、筆者は、長年彼の書いた市場と経済の本を読みたいと思っていた。本書は待望の書き下ろしだ。 「グローバリゼーションで豊かになれない」筋道について、筆者は次のように理解した。 各国の生産性の進歩が互角であるとした場合、労働人口が縮小に向かう日本では潜在成長率が低く、自然な金利も資本コストも低いはずだ。しかし、資本市場がグローバル化すると、グローバル投資家は、金利にも株主資本にも世界に均一の利回りを求める。日本の金利にも株式投資の収益率にも世界水準を求めるため、慢性の金融引き締め的な効果が及ぶ。 ここで生じる疑問の一つは、各国の金利、ひいては潜在成長率の差は、為替レートで調整されるのではないかという点だ。外国