俳優等の不祥事が発覚したときに、その俳優等が出演していたコンテンツのテレビでの放送や映画館での上映等が中止されることがあります。この場合、これにより当該コンテンツにかかる権利者(テレビ局や映画製作会社等)は当該俳優やその所属事務所に対し、その中止により生じた損害の賠償を求めることができるのでしょうか。 まず、出演契約に「不祥事特約」がない場合について考えてみましょう。 この場合、 コンテンツホルダーとの間の出演契約に付随する義務として一定期間不祥事を発覚させない義務を負うのか、 1.の義務違反とコンテンツの放送・上映の中止との間に相当因果関係が認められるか、 の2点が問題となります。 まず、売買契約等の一回的な契約はもちろん、建物賃貸借契約のような継続的な契約であっても、不祥事を犯さない、あるいは発覚させない義務を契約の相手方に対して当然には負わないというのが、我々の社会の原則です。雇用契