「アイディアを盗まれた」「企画案をパクられた」。朝から全然さわやかじゃない書き出しですが、実際にこの仕事をしていると多い相談です。という訳で「著作権入門」第3回は、アイディアや企画案の話から。 著作物にあたらない情報(3):アイディア・着想 前回、著作物(創作的な表現)から除かれる情報として、「ありふれた・定石的な表現」と「事実・データ」を挙げました。これはきっと常識でわかる話ですね。では、「アイディア」はどうでしょうか。実は著作物として守られるのは表現としてある程度形をとったレベルですから、その根底に横たわるアイディアは守られません。 たとえば、作品の着想や企画案ですね。「猫の1人称で小説を書く」なんて、天才的なアイディアです。仮に、あれを最初に着想したのは夏目漱石だったとしましょう。彼はそのアイディアを当時仲の良かった正岡子規に話したとする。そこで、なんと子規が漱石より先に猫の1人称で