台風12号に伴い紀伊半島各地に大きな被害をもたらした土砂崩れは、岩盤の深い部分から大きく崩れる「深層崩壊」の可能性があると、専門家らが指摘している。記録的な豪雨で地下深くに大量の水がたまったのが原因で、その上の土砂が滑るように崩れたという。現地の山は内部に水がたまった状態とみられ、専門家は「大雨や地震で再び深層崩壊が起きる可能性もある」と注意を促している。 ◇岩盤から一気に…大量の雨浸透で 京都大防災研究所の松浦純生(すみお)教授(地すべり学)によると、山の内部には亀裂や断層、風化が進んだところなどの「弱点」がある。大量の雨が岩盤に浸透し、たまった地下水の圧力でこの弱点から一気に崩れる現象が深層崩壊だ。高橋保・京都大名誉教授(土砂災害)は「時間をかけて地下水がたまり、雨がやんだ後に崩れることもある。表層1メートル程度の土砂崩れのしばらく後に深層崩壊が起きる例もある」と話し、捜索などの活動中