現代の日本では不機嫌なふるまいをすることのリスクが増大しつつある。背景には、サービスに求める水準の上昇や、仕事をする上で大事にしたいことの変化がある。つまり不機嫌でいることは、いまや重い罪なのだ。明治大学の齋藤孝教授は「現代ではとりわけ若い人たちが傷つきやすくなった。流れに逆行するより、『職業としての上機嫌』を目指したほうがいい」という――。 ※本稿は、齋藤孝『不機嫌は罪である』(角川新書)の第1章「もはや不機嫌は許されない」を加筆し再編集したものです。 不機嫌はなぜ許されなくなったのか 現代日本では、不機嫌な個人が多大な損をこうむる傾向が強まっています。これには二つの大きな要因があります。 一つは、私たちの社会が「快適に暮らしたい」という快楽欲求をつねに追求しているから。 日本は現在、世界随一の良質なサービスを提供する国として知られています。人々はどんな店でも、物や労務だけにお金を払うの