「イプシロンS」ロケットの第2段「E-21」が地上燃焼試験時に爆発したのは、固体ロケットモーターを点火する点火器のイグブースターが溶融して、燃焼中のモーター内に入り込んだためだ──(図1)。
2023年7月14日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発中の全段固体燃料ロケット「イプシロンS」の第2段モーターが地上燃焼試験中に爆発した。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製モーターケースの一部が想定以上の高温になって強度が低下し、燃焼時の内部圧力に耐えきれなくなって爆発した可能性が高い。その原因について、JAXAは「推進剤燃焼異常」と「インシュレーション断熱不良」の2つに絞り込んだ。 「イプシロンS」はJAXAが開発を進めている3段式の全段固体燃料ロケットで、2024年度の初号機打ち上げを目指している(図1)。「H3」と共に日本の次期主力ロケットとして位置付けられている機種だ。JAXAは2013年度に初号機を打ち上げた全段固体燃料ロケット「イプシロン」の改良を段階的に進めており、イプシロンSはその最新機種となる。地球を南北に周回する太陽同期軌道に600kg以上を打ち上げる能力を持
14日午前、秋田県能代市で行われた小型ロケット「イプシロン」の改良型「イプシロンS」の燃焼試験の途中で爆発が起き、炎が上がりました。 JAXA=宇宙航空研究開発機構は原因究明を急ぐ考えですが、来年度に予定している初号機の打ち上げのスケジュールが遅れる可能性もあるとしています。 「イプシロンS」は日本の主力ロケットのひとつで、これまで運用されてきた固体燃料式の小型ロケット「イプシロン」の改良型としてJAXAなどが開発を進めています。 秋田県能代市のJAXA能代ロケット実験場で、14日午前9時から「イプシロンS」のエンジン部分にあたる二段目のロケットの燃焼試験が行われました。 試験の開始直後は、炎と共に煙が勢いよく噴射しましたが、およそ1分後にボンという爆発音が聞こえて施設の一部が吹き飛びました。 その後、炎と黒い煙が上がりました。 消防が消火にあたり、およそ2時間後に火は消し止められ、警察に
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月18日、イプシロン6号機の打ち上げ失敗原因について、調査状況を文部科学省の有識者会合にて報告した。すでに、ダイアフラムによる閉塞が起きていたことは分かっていたが、追加の検証試験などを実施し、シール部からの漏洩が原因であることを突き止めた。今後、来月をめどに、報告書を取りまとめる。 JAXA内之浦宇宙空間観測所より打ち上げられたイプシロン6号機 (C)JAXA 閉塞に至ったプロセスが明らかに イプシロン6号機は2022年10月12日に打ち上げたものの、第2段RCSの片側で異常が発生し、機体の姿勢を正常に制御できなくなり、衛星の軌道投入に失敗していた。フライト時のデータからは、スラスタに燃料が届いていなかったことが分かっており、どこで何が起きて詰まってしまったのか、これまで調査が進められてきた。 2月3日に行われた前回の報告では、パイロ弁とダイアフラムの2
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月16日、宇宙開発利用部会の調査・安全小委員会にて、イプシロン6号機打ち上げ失敗の原因調査状況について報告した。前回の報告から約1カ月が経過したが、JAXAはこの間、膨大な製造・検査データを精査。要因について、大幅な絞り込みに成功し、故障シナリオの検討も行ったという。 火工品の作動不良は要因から排除 10月12日に打ち上げたイプシロン6号機は、2系統ある第2段RCSの片側(+Y側モジュール)で異常が発生、その結果、姿勢を維持できなくなり、衛星の軌道投入に失敗していた。原因は、燃料がどこかで詰まっていたことで、問題が発生した可能性のある場所としては、すでにパイロ弁とダイアフラムの2カ所に絞り込むことができていた。 パイロ弁は、構成する3つの部品(イニシエータ、PCA、バルブ本体)について、製造・検査データに基づいた絞り込みを継続。このうちイニシエータとP
日本の小型ロケット「イプシロン」6号機は12日午前、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、ロケットに異常が発生したため、機体を破壊する信号が送られ、打ち上げは失敗しました。 「イプシロン」6号機は、12日午前9時50分ごろ、鹿児島県肝付町にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、ロケットに異常が発生したため、打ち上げのおよそ6分半後に機体を破壊する信号を送ったということです。異常の原因については明らかになっていません。 JAXAは12日午後会見し、2段目と3段目のロケットを切り離す前にロケットの姿勢が目標からずれ、地球の周回軌道に投入できないと判断したと説明しました。 また、破壊された機体はフィリピン東の海上に落下したと推定されるとしています。 JAXAの山川宏理事長は「関係する皆様の期待に応えられず深くおわび申し上げ
【▲ イプシロンロケットのイメージ図(Credit: JAXA)】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月5日、内之浦宇宙空間観測所で2022年10月7日に予定されていた「イプシロンロケット」6号機の打ち上げを延期したと発表しました。 JAXAによると、打ち上げ延期の理由はロケットの飛行状況確認に必要な条件が整わないためで、新たな打ち上げ日時は決まり次第発表されるとのことです。 イプシロンロケット6号機には、QPS研究所の人工衛星2機「QPS-SAR-3」「QPS-SAR-4」と、「革新的衛星技術実証3号機」が搭載されています。革新的衛星技術実証3号機は、以下6機の人工衛星で構成されています。 ・小型実証衛星3号機「RAISE-3」 ・MAGNARO(名古屋大学) ・MITSUBA(九州工業大学) ・KOSEN-2(米子工業高等専門学校) ・WASEDA-SAT-ZERO(早稲田大学) ・
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2日、固体燃料ロケット「イプシロン」6号機に搭載する有償商業衛星2機を含む計3機の衛星を、射場となる鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で公開した。10月7日午前10時前に打ち上げる。 イプシロンとして初の有償商業衛星となる2機は、福岡市の宇宙ベンチャー企業「QPS研究所」が開発した。レーダーを使って地球全体の精密な地表面画像などを取得し、交通状況や被災地の把握に役立てる。 公開した残り1機は、大学や研究機関に打ち上げの機会を提供する「革新的衛星技術実証プログラム」の第3弾となる「RAISE-3」。公募で選ばれた7機関の機材を積み、小型衛星用推進装置の性能評価などを実施する。 JAXA超小型・小型衛星宇宙実証研究ユニット長の鈴木新一さん(57)は「まずは打ち上げを無事に成功させ、民間や研究機関が積極的に宇宙開発分野に参入できる体制を整えたい」と話した。 イ
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年8月11日(木)、「電離圏擾乱発生時の電子密度鉛直・水平構造観測」を目的とした観測ロケットS-520-32号機を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。 ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下しました。 GNSSをはじめとする搭載観測機器は予定通りに動作し、データを取得しました。今後、詳細な解析を実施し、電離圏電子密度の空間構造に関する研究を行う予定です。
【▲ 参考画像:「イプシロン」ロケットのイメージ(Credit: JAXA)】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「イプシロン」ロケット6号機を2022年10月7日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げることを発表しました。※打ち上げは10月12日に変更されました。 イプシロンロケット6号機は、福岡県に拠点を置く民間宇宙企業QPS研究所が開発した人工衛星「QPS-SAR-3」「QPS-SAR-4」(「QPS-SAR」3号機・4号機)と、6基の人工衛星で構成される革新的衛星技術実証3号機の打ち上げを実施する予定です。 関連:九州で製造した衛星を九州から宇宙へ! QPS研究所のSAR衛星がイプシロン6号機で打ち上げへ <革新的衛星技術実証3号機の6基の人工衛星> ・小型実証衛星3号機「RAISE-3」 キューブサット ・MAGNARO(名古屋大学) ・MITSUBA(九州工業大学) ・K
JAXAが鹿児島県から打ち上げたスクラムジェット燃焼試験用のロケット「S-520-RD1」。今回の試験は、関係者にとって40年越しの悲願になったそう。その理由と、今回の試験が抱えていた2つの大きな意味を探ります。 スクラムジェット"エンジン"ではなく"燃焼"、その意味 JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2022年7月24日午前5時、将来の航空機における極超音速飛行を想定した「スクラムジェット燃焼」の試験を行う観測ロケット「S-520-RD1」の打ち上げを、鹿児島県肝付町にある内之浦宇宙空間観測所から行いました。最高到達高度は168km、打ち上げから着水までの飛行時間は412秒でした。 試験は気象条件にも恵まれ、実験のリーダーである、JAXA研究開発部門の超音速燃焼飛行試験チームを束ねる谷 香一郎(たに こういちろう)チーム長は「この上ない状況での試験だった」と述べています。 今回使われた機
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年7月24日(日)に、「極超音速飛行に向けた、流体・燃焼の基盤的研究」の一環として、観測ロケットS-520-RD1を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。
福岡県に拠点を置く民間宇宙企業QPS研究所と株式会社IHIエアロスペースは4月18日に、QPS研究所が開発する人工衛星「QPS-SAR」3号機と4号機を「イプシロン」ロケット6号機で打ち上げる契約を締結しました。 この衛星は、QPS研究所が北部九州を中心とする日本全国のパートナー企業とともに開発・製造を行っているということです。同衛星は2022年度中にイプシロンロケット6号機で、鹿児島県にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられます。 【▲ 「イプシロン」ロケットのイメージ(Credit: JAXA)】QPS研究所の衛星は、合成開口レーダー(SAR)と呼ばれる方法で観測を実施します。SARは、時間や天候、昼夜に関わらず、レーダーを用いて観測できる衛星のことです。一般的な光学衛星は、天候などにより観測時間が左右されます。一方で、SARは電磁波を地表に向けて照射し、跳ね返ってきた電磁波を受信す
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、大学や研究機関等に対する新規要素技術の実証や新規事業につながる技術の実証機会提供を目的として、革新的衛星技術実証プログラムを推進しており、昨年度の革新的衛星技術実証2号機に続き、今年度は同3号機の打上げを予定しています。革新的衛星技術実証3号機では、大学、企業等合わせて15機関からの提案を選定し、部品・コンポーネント・サブシステムの7つの実証テーマをJAXAが開発する「小型実証衛星3号機(RAISE-3)」に搭載して実証する他、超小型衛星3機、キューブサット5機の衛星の軌道上実証を行います。 この度、JAXAは、イプシロンSロケットの打上げ事業者として選定された、株式会社IHIエアロスペース(以下、IA社)からの提案を受け、革新的衛星技術実証3号機の打上げ機であるイプシロンロケット6号機に、株式会社QPS研究所の小型SAR衛星2機を同時搭
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く