骨の中にある特定のたんぱく質を増やすと、骨折が約4週間早く治せることを、東京大学の中村耕三教授(整形外科学)らが臨床試験で確認した。一般的な骨折の治療薬の治験は初めて。スポーツ選手の早期治療や、骨折が原因の高齢者の寝たきり予防など実用化が期待される。 このたんぱく質は、骨を作る細胞が増えるのを手助けする「FGF―2」。骨が折れたところに注射して治りを早めるという。科研製薬(東京都)と共同で、遺伝子を組み換えた大腸菌をもとに大量生産した。 2006〜08年に国内48の病院で、すねの骨が折れて数日以内の71人について、この薬を注射するグループと、比較のために薬を含まないゼラチンを注射するグループに分けて、治る経過を調べた。 薬を注射したグループは半数が14週間で骨がくっついた。一方、薬を使わなかったグループの半数が治るまでに18週間かかったという。 ウサギ、イヌ、カニクイザルでも効果が
遺伝性でないアルツハイマー病の発症にかかわる異常たんぱく質が脳内で作られる仕組みを解明したと、愛知県豊明市の藤田保健衛生大学総合医科学研究所・前田明教授の研究グループが発表した。異常たんぱく質が作られる仕組みを分子レベルまで明らかにしたのは初めてで、将来の有効な治療法につながる可能性があるという。 患者の95%以上を占める遺伝性でないアルツハイマー病では、関連する遺伝子に突然変異はないが、遺伝子からたんぱく質の「設計図」が作られる際、必要な情報の一部も誤って取り除かれて、神経細胞死を引き起こす異常なたんぱく質が生み出される。 前田教授らは、この原因を詳しく解析。試験管に入れた神経細胞を低酸素状態にすると、「悪役たんぱく質」が大量に作られ、正しい設計図を作る過程を妨げて一部の情報が欠落して、結果として発症につながる異常たんぱく質ができあがることがわかった。 この仕組みが分かったことで、
前の記事 米軍、無人偵察機からの映像で「現地の目撃証言」に対抗(動画) 「がん細胞との共生」は「撲滅」より効果的:新しい治療法 2009年6月11日 Brandon Keim 境界悪性型の卵巣腫瘍。Image: WikiMedia Commons がんとの闘いに用いられる武器は、化学療法、放射線治療、ナノテクノロジーとさまざまだが、戦略の根本は常に同じだ——「見つけ次第破壊せよ、殺し屋には歩み寄りの余地なし」。だがRobert Gatenby氏は、平和的な解決を望んでいる。 モフィットがんセンターのRobert Gatenby氏は、がんを動的に進化していくシステムとして捉える、新世代の研究者の1人だ。 Gatenby氏は、数理腫瘍学(mathematical oncology)を専門としている。同氏のモデルによると、がんを1度に全滅させようとするのは、薬剤耐性細胞の増殖を促すことになり、が
脂肪由来の幹細胞からできた神経細胞(赤と緑が重なっている細胞)=中田顕研修員提供 おなかの脂肪から取り出した幹細胞を脳の中に入れて神経細胞を作り出すことに、京都大学再生医科学研究所の中村達雄准教授らが動物実験で成功した。脂肪の利用は負担が少ないため、将来、脳梗塞(こうそく)や脳腫瘍(しゅよう)の患者への再生医療の足がかりにしたいという。スイスの専門誌に発表する。 脂肪の中には、体のさまざまな組織の細胞になりうる幹細胞が含まれていることが知られている。幹細胞そのままでは移植に使えないが、幹細胞を取り出してスポンジなどの「足場」にしみこませたものを、傷ついた組織に移植、再生をめざす研究が世界中で進んでいる。 研究チームの中田顕研修員は、ラットのおなかの脂肪から幹細胞を取り出し、コラーゲンでできた数ミリ角のスポンジにしみこませた。幹細胞を大量にしみこませるために、3日間、幹細胞を培養しなが
私は、幸い日頃から薬にあまり縁がないが、二日酔い対策の胃薬(食後に飲んで効くタイプがいい)と疲れた時のビタミン剤くらいは時々飲む。この場合、ビタミン剤には相性があり、特定の薬を指名買いする。その際に、薬の量販店では、「みな似たようなものです」と言われたり、「この薬はこちらのものと中身が同じです」と別の薬を勧められたりすることがあるが、いつもの薬を買う。効能書きが同じ別の薬を、試供品も含めて、これまでに何種類か飲んだことがあるが、妙に胸焼けしたり、お腹が下ったり、何となく効きが悪かったりしたことが一度ならずあり、決めた薬を飲むようになった。効果の違いには、いわゆるプラシーボ効果(気分の差による効果の違い)も含まれていると思うが、半ば気分のために飲むビタミン剤だから、私にとっては重要だ。 冒頭から年寄り臭く薬の話などを書いた理由は、4月27日の「毎日新聞」で、「生活保護には安価薬」「不使用 手
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