「政府はいつまで小さな集落を苦しめるのか」。24日投開票された沖縄県名護市長選は、新人で元市教育長の稲嶺進氏(64)が、現職の島袋吉和氏(63)を破ったものの、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先に浮上している人口約2千人の辺野古地区の住民にとって、移設問題の先行きはいっそう不透明となった。移設の是非の判断を地域に背負わせ、分断させた政府への強い不信感と葛藤(かつとう)は収まりそうにない。 辺野古の歓楽街では、隣接する米軍キャンプ・シュワブの関係者向けにメニューの価格をドルでも表示しているおでん店の経営者、江田好さん(60)が「最近は基地にいる人が減り、店にくるのも給料日だけ。年々お客は減っている」。「ベトナム戦争のころはレジにドル紙幣が入りきれず、ドラム缶にほうり込んでいた店もあったそうだよ」と懐かしんだ。 「キャンプ・シュワブがなかったら、われわれは死んでます」と話すのは、かつて電器店