女流作家の伝記を多く手がけている瀬戸内寂聴さんが、ある講演でぼやいていた。「資料として一番信用ならないのが、自筆年譜と日記なんです」。林芙美子も岡本かの子も、自筆年譜で年齢のさばを読んでいた。日記も嘘(うそ)が多い。 ▼では、男の作家の日記は信用できるかというと、さにあらず。たとえば、永井荷風の日記は全くの創作だという。荷風は房事に及んだ日には、日付の上に印を付けていた。瀬戸内さんによれば、これも嘘。「だんだんダメになっていったから、わざと多く付けたんじゃないでしょうか」。 ▼今月1日、栃木県さくら市の自宅近くで倒れていた小学校6年の少女(12)が、児童相談所に保護された。数日後、相談所に侵入しようとした義理の父親(31)が逮捕された。 ▼「お父さんが教えてくれたことを聞かず、自分勝手なことをしてしまった。これからは気をつけます」「お父さんはやさしさで注意してくれたのに、私は言われたことを