ウ・ジョーティカ『自由への旅』は新潮社より2016年に刊行された翻訳書で、ウィパッサナーというテーラワーダ仏教の瞑想法を、しばしばパーリ語のテクストを引用しながらガチ解説するというなかなかニッチな著作でありながら、ありがたいことに日本の読者の方々からは広汎な支持をいただき、現在まで版を重ねている。 かつて私は、本書を「自分の知るかぎり世界最高の仏教書」と形容したことがあるが、その評価はもちろん現在でも変っていない。ただ、『自由への旅』が出版されてからしばらく経ち、読者の方々の反応なども様々に見ていると、ちょっと本書の「利用法」については、一言付け加えておくほうが親切かなと思うようになった。 というのも、『自由への旅』はウィパッサナー瞑想について、その実践が進むにつれて段階的に開かれてゆく境地の一つ一つを、丁寧に順を追って解説するという構成をとっているのだけど、こういう著作の場合、叙述が進め