表紙とタイトルから想像できないが、文体も内容も驚くほど硬派だ。エロ本を論じているのに全くエロくない。確かに小中学校のPTA会長のお母様が白目をむくような内容も含まれるが、XVIDEOSで毎日が絢爛豪華のエロのフルコース状態の21世紀の男女には時代を切り取った、ひとつの産業ノンフィクションとして楽しめるはずだ。 エロ本が存亡の危機に立たされて久しい。本書を読んで驚いたが、『べっぴん』、『すっぴん』、『デラべっぴん』、『ビデオボーイ』の英知出版の四誌合計で毎月100万部以上発行していた。『投稿写真』は30万部、『ザ・ベストマガジン』はピーク時には100万部に迫ったとも言われる。出版不況とはいえ、かつて僕らを猿にさせたエロ本は部数減に歯止めがかからず、いずれも廃刊に追いこまれている。 90年代中頃には、本書の言葉を借りれば「パソコンのモニターを見ながらオナニーできるわけがない」と業界関係者は楽観
宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』推薦図書特集の中で本橋信宏さんによる村西とおる監督の評伝『全裸監督 村西とおる伝』を紹介していました。 (宇多丸)2冊紹介したいんだけど、1冊は例によって玉袋筋太郎さんの強力プッシュで読みました。前に、『マイク・タイソン自伝』をこのコーナーで紹介して。あれはめちゃめちゃ面白くて。 ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の秋の推薦図書特集 放課後ポッドキャストでマイク・タイソンの自伝本を推薦。『近年いちばんの面白さ』と絶賛していました。 (古川耕)じゃあ宇多丸さん、どうですか (宇多丸)どっちにしようかなー?... (伊藤聡)面白かったです。 (宇多丸)で、実際に(タマフル)ブックフェアでもすごく出たらしいんですけども。玉さんが――私もそう思いますが――「マイク・タイソンを超えた!」という。マイク・タイソン自伝を超える、衝撃的に波乱万丈なこれは自
「ただ、セックスしてる、その瞬間は判るよ。その女の子の全てがわかる」 「何日、何ヶ月、何年と付き合うよりも?」 「うん。幾晩語り明かし、何千何万という言葉を交わすより、たった一度セックスした方がわかる。ねえ、なぜだと思う?」 「さあね」 「それはね、人間は今しかわからないからさ。俺達は今、この瞬間を理解することしか出来やしない。長い時間なんて、永遠の謎でしかないのさ――」 (「AV黄金時代」より) 太賀麻郎(たいがあさお) 1964年5月26日、東京生まれ。AVの仕事で2000人、プライベートで3000人、合わせて5000人の女を抱いた伝説の男優。19歳のときに『あやめの本番─わたしの舌には硬すぎる』でデビュー、『いんらんパフォーマンス』シリーズなどの代表作はじめ2000本に出演。 私が太賀麻郎について知っているいくつかのこと。父親は有名なデザイナーであり、その気難しい父親を振り向かせる為
【エンタメよもやま話】絶頂期AV女優1本1000万円…村西監督いま爆欲中国を骨抜き中! 業界の栄枯盛衰「日経」的に語る 最近、世界で物議を醸しているニュースがあります。8月11日付米CNNテレビや米誌タイム(いずれも電子版)などが一斉に報じましたが、世界的な人権団体で知られるアムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン)が8月7日~11日までアイルランドのダブリンで開いた主要方針決定フォーラムで、性産業のうち、成人の性的労働や、売春といった成人同士の間での合意に基づく性の売買は犯罪扱いせずに合法化するとともに、そうした職業に従事するセックス・ワーカー(性労働者)の人権を守るべきだとの方針を打ち出したのです。 アムネスティのサリル・シェティ事務局長は声明で「性労働者は世界で最も疎外されている集団の一つであり、常に差別や暴力、レイプ、人身売買、虐待、恐喝、嫌がらせ、恣意(しい)的な逮捕など
作家・紗倉まな AV女優・紗倉まなさんをご存じでしょうか。 このブログで紹介するのは2度目ですね。 明石家さんまが彼女の事が好きだとテレビで公言したり、TOYOTAの広告に起用されたり、自身の高専生時代や職業について綴った著書を出版したりと、セクシーなDVD以外のメディアにもひらけたAV女優さんです。 高い偏差値とAV女優らしからぬ高い文章力の持ち主であることはもともと有名で、文学っ子であることもファンの間で周知されていました。 そんな才能あふれる彼女がついに小説処女作『最低。』を上梓。 最低。 作者: 紗倉まな 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー 発売日: 2016/02/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ピース又吉直樹やチャットモンチー高橋久美子など「この人に小説書いてほしいなぁ」と僕が個人的に思っているタレントやクリエイターが次々と文芸作品
「エロ本」がいま、絶滅の危機に瀕している。 出口のまったく見えない出版不況により、あらゆる本、雑誌の売れ行きがどんどん落ち込んでいる昨今だが、そのなかでもことさらに深刻なダメージを受けているのが、「エロ本」業界だ。 インターネット上に落ちている無料アダルト動画などに顧客を取られ、2000年代中盤以降、いよいよその不況が表面化。英知出版、司書房、東京三世社といったアダルト系の有名な出版社が次々と姿を消した。また、出版社がなくならないまでも、成人誌、特に実写系成人誌の刊行をストップさせる出版社も後を絶たない。ワニマガジン社はアダルトコミック部門に比重を移し、実写系のエロ本は消滅。コアマガジンも「ビデオ・ザ・ワールド」をはじめとして実写系成人誌の休刊が相次いだ。つい先日も、25年以上の歴史をもつ素人投稿誌「ニャン2倶楽部」が編集部ごとマイウェイ出版に移籍するとの発表が出されたばかりだ。 そして、
本橋信宏「新・AV時代 悩ましき人々の群れ」を読了。 タイトルからも、また帯の表紙側にある文章の最後に「ノンフィクションノベルスの金字塔、ここに堂々完結!」とあることからも、この本が「裏本時代」「AV時代 村西とおるとその時代」に続く、三部作の掉尾と位置づけられていることがわかる。前前作、前作の主人公はやはり「村西とおる」その人だったが、今作は多くの人々の群像劇と呼べるものとなっており、帯の裏表紙側には、以下のように「悩ましき人々」の名前が列挙されている。 この「悩ましき人々」を見よ! テリー伊藤は、北朝鮮に向かう飛行機の中で、物思いにふける。「安売王」佐藤太治会長は、セルビデオによる流通革命をめざす。高橋がなりはソフト・オン・デマンドを起ち上げ、一大AV王国を建設する。村西とおるの流浪。そして感動の子育て! 代々木忠との対峙と和解。樹まり子、飯島愛、黒木香、卑弥呼、乃木真梨子……時代を象
「この本は言ってみれば、『スター・ウォーズ』なんですよ。エピソード5/帝国の逆襲があったり、エピソード6/ジェダイの帰還までつづくはずですよ」 菊池寛の胸像のあるロビーで、「週刊文春」編集部(当時)の目崎敬三が私に熱く語りかけた。 本というのは、1996年初冬、飛鳥新社から出した『裏本時代』(現在、幻冬舎アウトロー文庫に収録)という書き下ろしノンフィクションノベルのことで、翌年、「週刊文春」のぴーぷる欄の近況インタビューを目崎敬三から受けたときに飛び出した言葉だった。 『裏本時代』は、私がフリーランスの物書きをやりだしてからしばらくして、ある不思議な人物と遭遇したことを基軸にして、綴ったものだった。 1980年代初頭、突然、性器や交接シーンが無修正のカラー写真集が新宿歌舞伎町のアダルトショップで密売されるようになり、ひそかなベストセラーになった。 裏本と呼ばれる原価数百円の無修正写真集が小
暑いよぅ。そんな暑い中暑苦しい(?)タイトルですが、本ですよ!本。 物心ついた頃から私は、人間の身体の身体性と付随する精神性の関係が好きだった。 なーんて言い方すればいかにも賢げだけど、 要するに、身体性with精神性の真骨頂=性をとりまくあれこれが魅力的なのですよ。 (ぶっちゃけた) 社会的な役割と、動物的な役割と、心に及ぼす影響と、発露の仕方。 どれをとっても人間のなにか根本的な業みたいなものを感じるから。 そういうエロいものって時にどぎつくて、下品で、汚いけれど、 自分にも備わっているものだから目を背けてもいられないしね。 まあそういう趣味(趣味?)もあって、性を売り物にするっていう 太古の昔からある一つのやり方にも並々ならぬ興味があるわけですよ。 で、一応エロ本>ビニ本>アダルトビデオのエロ系パッケージの盛衰と 思春期とかががっつりかぶっちゃってる年代だからさ。 女といえど、アダル
東良美季さんの新刊「AV黄金列伝」(イースト・プレス 文庫ぎんが堂)が出ました。 新刊といっても、1999年に出た「アダルトビデオジェネレーション」(メディアワークス)の文庫化で、やったらめったら分厚い(600ページ以上)この本を文庫版としてスリムに再編集したもの、かと思ったら、文庫になっても580ページと分厚い、分厚い(笑)。 「ビデオ・ザ・ワールド」誌を中心に東良さんが1987年から2005年までに書いたAV女優、男優、監督のインタビュー集です。収録されているのは、秋元ともみ、速水健二、中沢慶子、太賀麻郎、山本竜二、ヘンリー塚本、栗原良、藤木美菜、平本一穂、清水大敬、松本コンチータ、溜池ゴロー、笠木忍、チョコボール向井、南佳也、森下くるみ、小室友里、日比野達郎、白石ひとみ、林由美香の20人。 「アダルトビデオジェネレーション」からは、加藤鷹、辻丸耕平、卯月妙子、風吹あんな、カンパニー松
ここ数日来のポルノ三昧であるが理由はこの本。 アデュ〜 ポルノの帝王久保新二の愛と涙と大爆笑: エッチ重ねて50年!! 作者: 久保新二,石動三六,小川晋出版社/メーカー: ポット出版発売日: 2015/01/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (9件) を見る この本のレビューを書いていたのだ。 久保新二他著 『アデュ〜 ポルノの帝王 久保新二の愛と涙と大爆笑』 (ポット出版・2,000円) もう10年以上書いてる「書評のメルマガ」の第101回目。 その内容は以下の通り。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - ■「本の周りで右顧左眄」/(連載101回)「ポルノの帝王」、絢爛の半世記 - 久保新二 、他著 『アデュ〜 ポルノの帝王 久保新二の愛と涙と大爆笑』 (ポット出版・2,000円) デビュー50年、現役最古参。「ポルノの帝王」と
AV女優にあこがれを抱く女性が増えているらしい。昔は、AV業界といえば、裏社会との関係が濃厚、ダークなイメージが付きまとっていたが、現在では、自ら志願してAV女優になる者も少なくはないようだ。「アイドルよりも可愛い!」「生き方に共感!」と男女問わず、多くの人が彼女たちの動向を気にしている。かつてはマイナスのイメージだったAV女優が、どうして今、人々の注目を集める存在となったのだろうか。今回は、彼女たちをテーマとした本「AV女優本」を4ジャンルに分類し、「AV女優本」マップを作成した! さぁ、このマップを元に男性だけでなく女性にもAV女優が世の中的に、“アリな存在”となった過程を前編・後編に分けてみていこう。 男性向けに作られた「How to系」の対象が次第に女性へと変化 ■古臭いAVが広めた「男性本位のセックス」を否定するアダム徳永 ポルノ映画に代わる新しい分野として1980年代にAVが誕
1冊1冊の本をじっくり読み上げて熟成させた読書録&原案(思想の素)です。とりあえず俺が生き続けていることの証し。*リンクの「人生日記」(blog.livedoor.jp/nobody515)は俺の(今のところ昔の)日記です。◆◆◆基本ネタバレ注意!!◆◆◆本を読んだ後に記事をお読みになることをお勧めします。 最近はまっているのは性ドキュメントものである。 その前にはまっていたのは犯罪ドキュメントものだったが。 本作品に続き、その続編的な『名前のない女たち』やコミック『AV列伝』、『性職者』、『実録レイプ裁判』などと広がっていっている。 さらにそもそも人間にとって性とは何なのかという観点から岸田秀『ものぐさ精神分析』『続ものぐさ精神分析』所収の「性差別は文化の基盤である」「性的唯幻論を越えて」「性的唯幻論」に進んでいったりもした。 AV女優が、なぜAV女優になったのか、どうしてなることを自認
なにもかもが久しぶりの経験であった。 書店でなかなか見つからず、店員さんに「『エロのデザインの現場』って本、ありますか?」と聞いてちょっと恥ずかしかったこと。電車の中で隣の人に覗きこまれないよう、表紙に角度をつけてガードしながら読まなければならなかったこと。家に帰ってきてからも妻に見つからぬよう、大きめの写真集の隙間に背を奥側に向けてしまうなど細心の注意を払わなければならなかったこと。 誤解のないように強調しておくが、本書は別にエロ本ではない。エロ本のデザインを司った男たちの物語、そしてその制作現場について書かれた本である。だが、それでも眉を潜める人というのは少なからずいるだろう。かくもエロ本には人権がない。しかし本書を一読するだけで、エロ本は恥ずかしくて隠さなければならないものというイメージがきっと払拭される。 登場する9人のデザイナーは、いずれもエロのデザインをすることが好きでかっこい
http://www.tachiagare.com/(勃チ上ガレ、性欲) うははは。「たちあがれ」が妙な流行語になってしまった昨今。(個人的にはインポテンツ日本と言いたくなるけど)先見の明というべきか、たちあがれドットコムというと、村西とおるプロデュースのダイナミックなスタミナドリンクが登場するのだった。都知事のセンスは、伝説のAV監督と似たようなものなのであろう。しかし村西監督、依然として顔が濃い。大仁田かと思った。 村西とおるといえば、団塊ジュニアにとっては忘れられない偉人である。80年代最大の怪人のひとりと言っても過言ではありません……と、つい村西用語が出てしまった。ナイスですね。ブログも書いてらっしゃったけれど、最初だけはすごくおもしろかったのを覚えている。 「AV界の帝王に君臨したけど、無茶な経営で大失敗した」端的にまとめるとそういう感じなのだが、そんな簡単な言葉ではおさまらない
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