サッカー日本代表がW杯出場を決めた6月4日の夜、お台場のとある会場では1000人を超えるサポーターが一喜一憂を繰り返していた。 600インチの特大モニター、そのど真ん中に本田圭佑のPKが突き刺さったのは、会場に“憂”の空気が充満しかけたその時だった。待ちに待った一番の歓喜の瞬間に、1000人のサポーターが沸く――とここまでは、よくあるパブリック・ビューイングの光景である。 ステージの隅に設けられた小さな雛壇では、インターネット動画サービス『ニコニコ生放送』の中継が行なわれていた。出演者は19インチの小型モニターを見ながら高くも低くもないテンションでサッカーを語り、時折、目の前のサポーターではなく“ネット”の向こう側に話し掛ける。この日の視聴者は約13万人。決戦の舞台となった埼スタが誇るキャパシティーの2倍である。 世の中の仕組みを変えたインターネットは、どうやらスポーツの観戦スタイルも変え