2016年の大統領選を通じて、アメリカの多くの人々が主流(メインストリーム)の新聞やテレビのニュースよりネット上の「フェイクニュース」を信じるようになった。そして結果的に、大統領選で多くの暴言と嘘の発言を繰り返したドナルド・トランプを大統領に選んだ。 これは多くのアメリカ人にとって理解を超える衝撃的な出来事だった。選挙中には、トランプの支持基盤である白人貧困層の思考を描写したJ・D・バンスのノンフィクション『ヒルビリー・エレジー』がベストセラーになり、選挙後には、かつて保守運動の中心的存在だったチャールズ・J・サイクスが、『右派はいかにして正気を失ったのか』という本を刊行した。だが、これらの本は現象の一部を説明しただけだ。 もっと壮大な視点でアメリカ社会を解説するのが、カート・アンダーセンの歴史ノンフィクション『ファンタジーランド 』だ。コロンブスがアメリカ大陸に上陸した500年前までさか