ブックマーク / aniram-czech.hatenablog.com (49)

  • 2019年に読んで、面白かった本ベスト10 - チェコ好きの日記

    毎年、年末になるとまとめている恒例のやつ「2019年に読んで、面白かったベスト10」です。今年は上半期編のまとめを書き忘れているな!? 下は昨年のやつです。なお、「2019年に発売された」ではなく「2019年に私が読んだ」から選んでいるので、当然ながら古いもあります。 aniram-czech.hatenablog.com 10位『男どき女どき』向田邦子 男どき女どき (新潮文庫) 作者:向田 邦子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1985/05/28メディア: 文庫 実は私はこれまで、日の女性作家のをほとんど読まなかった(唯一の例外が吉ばなな)。でも今年は向田邦子や岡かの子など、わりと女性作家の小説を読んだな。理由は主にAMの連載のためだったんだけど、わず嫌いが直り読書範囲が広がって個人的にすごく楽しかった。来年は存命の日人女性作家の小説をもっと読もうと思っていて、

    2019年に読んで、面白かった本ベスト10 - チェコ好きの日記
  • アヘンで人は幸福になれるか? - チェコ好きの日記

    世の人の苦悩は、たいてい「欲望と現実のギャップ」から生まれる。たいていっていうか、100%そうかも。モテたいのにモテないとか、結婚したいけど相手がいないとか、お金がいっぱい欲しいのにお金がないとか、好きなことを仕事にしてガンガン稼いでモテまくって雑誌とかウェブメディアに取材されたいのに上手くいかないとか、フォトジェニックなゴハンを作ってインスタにアップしたいのに料理が下手とか、っていうかこれカメラの性能の問題? とか(私のことじゃないよ! 全部一般論だよ!) もう一度言う。大なり小なり、人の苦悩は「欲望と現実のギャップ」が生むのだ。 (※こちらは現在、午後の3時。わたくし今、シチリア島のパレルモに滞在しております) そして、世に蔓延るたいていの商品は、「私があなたの現実を、欲望に追いつかせてあげましょう」とアピールする。このカメラを買ったら、もっと素敵な写真が撮れるかも。この化粧品を買った

    アヘンで人は幸福になれるか? - チェコ好きの日記
  • STUDIO VOICE vol.412 で「旅にかんするノンフィクション」を紹介しました - チェコ好きの日記

    掲題のとおりなんですが、「STUDIO VOICE vol.412」にちょっとだけ登場しています。 vol.412のテーマは、「Documentary / Non-Fiction 見ようとすれば、見えるのか?」。ドキュメンタリー映画とかインタビュー記事とかノンフィクションとかの特集なのですが、そこの現代ノンフィクション入門というページで「旅にかんするノンフィクション」を5冊おすすめしています。ブログでは触れていないもあるので、ぜひ。STUDIO VOICEは学生時代の憧れの雑誌だったので、嬉しいのを隠しきれておりません……! STUDIO VOICE vol.412 出版社/メーカー: INFASパブリケーションズ発売日: 2018/03/21メディア: 大型この商品を含むブログ (1件) を見る 3/20発売のSTUDIO VOICE vol.412 「Documentary / N

    STUDIO VOICE vol.412 で「旅にかんするノンフィクション」を紹介しました - チェコ好きの日記
  • 30歳女が観る"デキちゃった"映画『イレイザーヘッド』 - チェコ好きの日記

    このブログを書いている人は現在30歳の女性であるが、しかし実際の中身はオッサン……ではなく、ガリガリに痩せている病的にナイーブな16歳の少年である。そう、ちょうどガス・ヴァン・サントの映画に出てくるみたいなね。毎日ストリートでスケボーしてるし。もしくはやっぱり、『ライ麦畑』のホールデン・コールフィールドくんやね。 パラノイドパーク [DVD] 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント発売日: 2008/09/26メディア: DVD クリック: 29回この商品を含むブログ (76件) を見る ……と、いうのはもちろん冗談だけど、先日アップリンクでデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』を久しぶりに鑑賞してきた。前に観たのは学生のときだったから、およそ10年ぶりの再会ということになる。学生のときからずっとそうだけど、私はリンチの映画はたぶんこの『イレイザーヘッド』がいちばん好きだ

    30歳女が観る"デキちゃった"映画『イレイザーヘッド』 - チェコ好きの日記
  • 【読者寄稿】2年かけて西欧を旅してきたので、役に立った持ち物とか紹介する。 - チェコ好きの日記

    2年かけて、西欧を旅してきた。 出発当時の僕は20歳で、今は22歳になっている。今回は寄稿という形でこの場を借りて、僕が2年かけて旅をしてきた中で、持ってきてよかった! と思ったモノを7つと、あと記憶に残っている旅のエピソードなんかも、いくつか紹介させてもらおうと思う。 1.ノート、筆記用具 最初に、今回の2年間の旅のルートを具体的に言うと、出発はロンドンだった。そこからドーバー海峡を船で渡って、フランスのカレーって街まで行く。それからパリに行って、リヨンからジュネーブを抜け、アルプスを越えてトリノに出た。トリノからジェノヴァ、フィレンツェ、シエナ、そしてローマまで行って、ナポリが終点だった。このルートを、1つの街にだいたい2〜3ヶ月滞在して、2年かけてまわった。 なぜこのルートだったのかというと、正直、父親に勧められたからっていうのが大きい。僕の父も同じく20歳前後のとき、今回の僕とほぼ

    【読者寄稿】2年かけて西欧を旅してきたので、役に立った持ち物とか紹介する。 - チェコ好きの日記
  • 「語られて」しまうもの、あるいは編集された人生 - チェコ好きの日記

    インタビュー記事、取材記事、といった類のものがある。数は多くないけれど、私自身も、インタビュー「する」側「される」側、ともに関わったことがある。これらの機会をあたえてくれた人たちに、感謝している。 これらの記事には、大きく分けて二種類あると私は思っている。一つは、「人(インタビュイー)にとって名誉なことがクローズアップされているもの」。そしてもう一つがその逆の、「人にとって不名誉なことがクローズアップされているもの」だ。 自分自身に関していうのであれば、私は今のところ前者にしか関わったことがない。 「される側」として、ライターとしての経験やお金の使い方を聞いてもらって記事にしてもらえたことがある。「する」側として、汚部屋から一転、お掃除ブログを立ち上げて書籍出版に繋げた方や、業でバリバリやっている占い師の方に話を伺わせてもらったことがある。働き方とか、仕事論とか、あとは専門家にご意見

    「語られて」しまうもの、あるいは編集された人生 - チェコ好きの日記
  • 自分で「気付く」ために必要なこと - チェコ好きの日記

    「ねえ、今すれ違った人、すごく美人だったね」。 街を歩いているとき、一緒にいた知人にこんなことを話しかけられたとする。こういうとき、私はだいたい「えっ、そう? 見てなかった」と返す。「一緒にいた知人」というのが恋人で、ヤキモチを妬いているとかではない。女性と歩いているときでも、男友達や職場の人と歩いているときでも、だいたいこんな感じだ。ようは、街行く人なんか、私は全然見ちゃいないのである。 そんな私とは逆のタイプ、「そんな細かいとこよく見てましたね〜!?」っていう人もいる。いるだろう。ぜひ、あなたも身近な人のことを思い浮かべてみてほしい。あの場所に何があったとか、あのときあの人は体調が悪そうだったとか、もうホント、よく気付くなと思う。気付く人というのはだいたいすべてのことをよく見ていて、実は私とは目の総数がちがうんじゃないだろうか、なんて考える。私には目が二個しかついてないんだが、実はこう

    自分で「気付く」ために必要なこと - チェコ好きの日記
  • 「境目」はない、という意識で生きてみる。 - チェコ好きの日記

    人は変わる。当然ながら、考え方も変わる。もちろん、1日2日でコロコロ変わっていたら問題だが、数年間単位で考え方が変わることはそう珍しいことではない。 私がここ数年間で、自分で明確に変わったと思う考えは、「境目」ってヤツはどうもないらしい……ということだ。2〜3年前は、「境目」があると思って生きていたし、それは目で見ればすぐにわかるものだと思っていた。 たとえば、下世話な例で申し訳ないが、性行為をする際に、首を絞められることで快感を感じる、という女性がいるらしい。 「らしい」というのは、私自身はとにかく肉体的な痛みや苦しみにひどく弱い人間*1で、歯医者で「これくらいなら我慢できる人も多いんですけど……麻酔、します?」と聞かれたら即答で「絶対にします!」と返すようなヤツなのだ。ノー麻酔で様子を見つつ、それでもやっぱり耐えられなかったらとか、そんな悠長なことは言わんでいい。耐えられないことなんか

    「境目」はない、という意識で生きてみる。 - チェコ好きの日記
  • 世界を見る、とは - チェコ好きの日記

    「学校を出たら、農業をやるんです。だからもうこんなふうに、自由に海外を旅する機会は、あまりなくなるんじゃないかと思います」 と、大学院の退院*1を前にして、とある先輩が言った。それに対して先生*2は、 「自由に海外を旅する機会がない? そんなこと、嘆く必要なんかまったくない。だって君は農業をやるんだから。毎日畑に出て土に触ることは、旅以外の何者でもないでしょう。こんな豊かな生き方は他にない」 と、言っていた。 当時私は23歳で、「先生が、なんかスゲエことを言っているぞ……!」ということだけはひしひしと理解したのだけど、正直、なぜ毎日畑に出て土に触ることが旅と同じになるのかよくわからなかったし、今でもあまりわかっていない。 ただし、20代の後半くらいになって気が付いたこととして。人生を豊かにしてくれるのはきっと、「答え」ではなく、「問い」と「謎」を与えてくれる人との出会いだ。私はいまだに、あ

    世界を見る、とは - チェコ好きの日記
  • 天皇にパチンコ玉、奥崎謙三を追う『ゆきゆきて、神軍』 - チェコ好きの日記

    先日、渋谷アップリンクにて原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』を鑑賞してきたので感想文を書く。実は初見だったのだけど、脳が沸騰するくらい面白かった。上映後には原監督と映画史研究家の春日太一さんのトークショーがあり、そこで原監督が「これ、30年前の映画だけど全然古くないでしょ?」とおっしゃっていて、「はい、全然古くありません!」と思った。 感想を書くからにはもちろんブログを読んでくれた人に鑑賞を勧めたいのだけど、連日満席らしいのでチケット取りづらいかもしれません。 たったひとりの「神軍平等兵」奥崎謙三 そんな『ゆきゆきて、神軍』とは、アナーキスト・奥崎謙三を追ったドキュメンタリー。マイケル・ムーアやマーティン・スコセッシも絶賛しているらしく、日のドキュメンタリー映画を代表する傑作であるといわれている。 問題はこの映画の主人公である奥崎謙三という人なのだけど、彼は言葉を選んでいえば「昨今なかなか

    天皇にパチンコ玉、奥崎謙三を追う『ゆきゆきて、神軍』 - チェコ好きの日記
  • 自身には冷酷に、そして他者には寛容に:『中動態の世界』 - チェコ好きの日記

    「自分の頭で考える」「自分の幸せの定義は自分で決める」 なーんて言葉をよく耳にするようになって早数年、当初はそれなりに目新しかったこれらの言葉も今じゃすっかり手垢がついたように感じられ、むしろ陳腐にすら聞こえる。それは私自身が、自分の1つ1つの選択に関して「これは当に私の意志か? どこまでが私の意志だ?」と疑い出したらキリがなくなってしまったということがあって、今年の2月にはちょうどこんなツイートをしている。 「自分の頭で考える」のは大切だけど、各々の判断を「これは自分の頭で考えた!」ってみんな当に自信を持っていえるのかな。自分の頭で考えたとまわりの環境から思わされているだけ、という可能性は考慮しないのかな。私は「自分の頭」と「他人の頭」の境目でいつも戸惑っている。— チェコ好き (@aniram_czech) 2017年2月24日 そしたらちょうど都合よく、この私の疑問を徹底的に考え

    自身には冷酷に、そして他者には寛容に:『中動態の世界』 - チェコ好きの日記
  • 「メンタルが強い」とはどういうことか - チェコ好きの日記

    昔、知人に聞いた話だけど、彼が中学生くらいの頃、学校で「失神ゲーム」なるものが流行したことがあるらしい。 何回か深く深呼吸したあと、息を止めて胸を圧迫するような体勢をとり、その背中を友達が思いっきり叩く。すると、気絶したような状態になるので、その浮遊するような酩酊を楽しむことができる。 「それって危ないのでは……?」と聞くと、「危ないよ」と即答された。実際、このゲームがきっかけで脳に障害が残ることもあるし、そうすれば友達同士で同意の上とはいえ、傷害罪に問われることもある。なんでそんな物騒な遊びするのかしら、もうほんと男子ってやーね、と話を聞いた私は思った。 そんな失神ゲームのことはどうでもよくて、今回は中村うさぎさんの話をしたい。KindleUnlimitedに(またか)、『ショッピングの女王』なるエッセイが入っているのだけど、面白かった。全5巻。 ショッピングの女王 作者: 中村うさぎ出

    「メンタルが強い」とはどういうことか - チェコ好きの日記
  • 格闘日記② 〜短足はつらいよ編〜 - チェコ好きの日記

    「せんせー、テストを担当するせんせーは、だれに、なる、ますか?」 私の横で、上手とカタコトの中間くらいの日語でトレーナーに質問しているのは、フランス人のシルヴィである。 「あー、担当トレーナーは当日まで教えられない規則なんですよ。申し訳ないけど」 「え〜〜、でも、わたし、初めてのせんせーだと、日語が、聞きとれないかも……です。フランス人だから」 シルヴィいわく、慣れているトレーナーならばアクセントの癖などを把握しているので日語の指示が聞きとれるが、対面するのが初めてのトレーナーだと言葉を聞きとりづらいことがあるらしく、それが不安だというのである。 「そういうことなら、ちょっと掛け合ってみるけど、僕からはなんとも言えないっていうか」 「せんせー、お願い。お願いします〜〜〜」 棒のように突っ立っている私の横で、トレーナーに必死に懇願するシルヴィ。私も一緒になんかいってあげようかなと思った

    格闘日記② 〜短足はつらいよ編〜 - チェコ好きの日記
    aniram-czech
    aniram-czech 2017/06/20
    昨日書いた口が悪い日記です。
  • なぜ私はあの人が好きなのかしら - チェコ好きの日記

    先日、山英夫さんの『ホムンクルス』というマンガを全巻ほぼ一気読みした。 それで、そのまま同じく山さんの『のぞき屋』『新のぞき屋』も全巻ほぼ一気読みした。ちなみに、『のぞき屋』『新のぞき屋』はKindleUnlimitedで読めるよ。マンガ読むのってお金かかるよね。 ホムンクルス(1) (ビッグコミックス) 作者: 山英夫出版社/メーカー: 小学館発売日: 2015/05/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る新のぞき屋1巻 作者: 山英夫出版社/メーカー: 電書バト発売日: 2016/10/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る※こちらは全1巻らしい のぞき屋 1巻 作者: 山英夫出版社/メーカー: 電書バト発売日: 2016/10/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 「人間の真の姿」を描きたい山英夫 さて、『ホムンクル

    なぜ私はあの人が好きなのかしら - チェコ好きの日記
  • 浮いた氷山の水面下には何がある?:『発酵文化人類学』を読む - チェコ好きの日記

    知人に、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんという方がいる。 最初にお目にかかったのは確か「灯台もと暮らし」さんのイベントだったと思うのだけど、イベント後にブログを読んだらレヴィ=ストロースのことがいっぱい書いてあって(しかもそれがすごく面白い)、そこから私の中でヒラクさんは完全に「文化人類学の人」になった。私自身は残念ながら、レヴィ=ストロース御大のことは「すごいのはよくわかるけど何がどうすごいのかは説明できない」みたいな理解しかしてないのだけど、しかしそれはそれとして、よくわかってないくせにものすごく気になる存在ではある。30歳になった今年の誕生日は家にこもって、『悲しき熱帯』を8時間くらいずっと読んでいた。 そんなヒラクさんが、この度『発酵文化人類学』なるを上梓されたらしい! というわけで、以下はヒラクさんの『発酵文化人類学』の感想です。 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ 作者

    浮いた氷山の水面下には何がある?:『発酵文化人類学』を読む - チェコ好きの日記
  • 『鬱屈精神科医、占いにすがる』を読む - チェコ好きの日記

    生きることが苦しいと感じたとき、人は何に救いを求めるだろうか。ある人は宗教かもしれないし、ある人は哲学や文学かもしれない。ある人は心療内科に行くかもしれないし、またある人は占い師にすがるかもしれない……。 『屈精神科医、占いにすがる』というの著者である春日武彦さんは、タイトルにある通り精神科医で、普段は人に救いを与える側である。だけど還暦を迎え、生きることにどうしようもない倦怠を感じるようになり、自分のほうが救われたいと思うようになってしまう。そこから春日さんの、占い師ハシゴ生活が幕を開けるのだ。 春日さんは、「人の悩みを聞く」という点において、占い師は自分(精神科医)と同業者であると語る。実際、訪ねて行った占い師にも、自分の職業について打ち明けると、「あら、そういったお仕事の方が、わざわざご相談ですか」と少々珍奇な目で見られてしまう。同業者の世話になる、同業者の接客をする。確かに、ど

    『鬱屈精神科医、占いにすがる』を読む - チェコ好きの日記
  • 星に願いを託すより - チェコ好きの日記

    Twitterのほうを見てくれている人は知っているかもしれないけれど、現在noteの有料月額マガジン「もとくらの深夜枠」にて、【クレイジーJAPAN】という連載をやらせてもらっている。テーマは「文化人類学」*1なのだけど、映画『君の名は。』の話をしてみたり、元汚部屋住人さんを取材してみたりと、我ながら「何がやりたいんだ?」感が満載の連載である。自由にやらせてくれている深夜枠編集長・くいしんさん(@Quishin)には、感謝しかない。 note.mu そんな状況なのだが、しかしあくまで「文化人類学」がテーマと言い張りたいのであれば、この人物に触れないわけにはいかないだろう。というわけで、今回は【クレイジーJAPAN】の宣伝をかねて、レヴィ=ストロースの話を少ししてみようと思う。 インセスト・タブーと『親族の基構造』 レヴィ=ストロースとはご存知のとおり、構造主義というやつを打ち立てたフラン

    星に願いを託すより - チェコ好きの日記
  • 「できる」と「できない」の間の話 - チェコ好きの日記

    Twitterで教えてくれた人がいたので、高橋秀実さんのエッセイ『はい、泳げません』を読んでみた。著者の秀実さんはカナヅチで、水が怖くてまったく泳げないのだけど、そんな秀実さんが中年になって一念発起し、スイミングスクールに通い出すというエッセイである。 はい、泳げません 作者: 高橋秀実出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る が、「水泳とか興味ねーよ」という人がこのブログを読んでいる人の大半だろう。私も正直、水泳そのものにはほとんど興味がない。でも、この『はい、泳げません』というはべらぼうに面白かった。私一人が面白いといってもきっと説得力がないので、単行当時の帯を書いた村上春樹の言葉をここに引用しよう。 「変てこな、人の足をひっぱるような『ハウ・トゥー』(なのか?)が、いったい世の中のどんな役に立つのか、僕には今ひ

    「できる」と「できない」の間の話 - チェコ好きの日記
  • タラレバ娘、抗えない老い、後悔、そして『騎士団長殺し』 - チェコ好きの日記

    村上春樹の最新長編小説『騎士団長殺し』の感想を書く。物語の核心に触れないよう細心の注意を払うけど(つまり、まだ読んでない人が目にしても大丈夫なように書くけど)、とはいえ「何も知らない状態で『騎士団長殺し』を読みたいんだッ!」という人にはこの感想はスルーしてもらったほうがいいと思う。を読み終わったらまたブログを読みに来てください。 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行この商品を含むブログ (13件) を見る騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行この商品を含むブログ (10件) を見る ある時点に戻ってひとつの間違いを修正できたとしても まず読み終わって最初に思ってしまったのは、村上春樹ももう68歳、作家

    タラレバ娘、抗えない老い、後悔、そして『騎士団長殺し』 - チェコ好きの日記
  • 格闘日記① 〜白馬の王子様編〜 - チェコ好きの日記

    一年半くらい前、ひどい肩こりと眼精疲労に悩まされていた私は、某所で評判を聞きつけ、高田馬場にあるマッサージ店を訪れていた。当時の私は、この広い世界のどこかに人体について知り尽くしたゴッドハンドがいて、そのゴッドハンドに出会いさえすれば、私の肩こりは消えるのだと思っていた。ガチガチの白馬の王子様願望だ。いつか白馬に跨ったゴッドハンドが私を迎えに来てくれて、神の手によって肩こりを取り除いてくれると思っていたのだから。 八月の夕暮れ。「今度こそ」と意気込んで、私は店舗である長屋の戸をガラガラと開いた。しかし、王子様(女性だったけど)の施術自体は、さしたる感動もなく、一時間程度であっさり終わってしまった。終わったあとも肩の気だるさは抜けず、爽快感はいまいち。施術台を降りた私は、「この人もちがった。私の運命のゴッドハンドじゃなかった」とどこぞの婚活女子のような感想を抱き、そそくさと店を後にしようとし

    格闘日記① 〜白馬の王子様編〜 - チェコ好きの日記