近年、ゲリラ豪雨や竜巻による被害が問題となっている。このような局所的で突発的な大気現象の詳細な構造や、前兆現象を直接観測するのに最も有効な手段は、気象レーダであるという。 従来から、台風や低気圧、梅雨前線などによる降雨を観測するために、大型の気象レーダが日本全土を覆うように配備され、最近では、都市域の降雨をより細かく観測できる小型の「Xバンドマルチパラメータ(MP)レーダ」の整備が進められている。XバンドMPレーダは、9GHz帯・波長約3cmの周波数帯のXバンドを用いた、ドップラーおよび二重偏波観測が可能なレーダのことだ。 ただし、従来のレーダはパラボラアンテナを機械的に回転させて降雨観測を行うため、地上付近の降雨分布観測には1~5分、降水の3次元立体観測には5分以上の時間を要してしまうといった課題があった。 局地的大雨をもたらす積乱雲は10分程度で急発達し、竜巻もものの数分で発生し移動す