本連載の第4回では,プログラミング言語「OCaml」のオブジェクト関連の機能を紹介した。しかし,OCamlには,オブジェクトとは似て非なる「モジュール」の仕組みもある。むしろ,通常はオブジェクトよりモジュールのほうがよく利用されている,ともいえる。実際に,OCamlの標準ライブラリ(http://caml.inria.fr/pub/docs/manual-ocaml/manual034.html)もモジュールとして提供されている。そこで,今回はOCamlのモジュール関連の機能(モジュール・システム)について紹介しよう。 なぜモジュール・システムが必要か 言うまでもないが,モジュール・システムの主要な目的は「モジュール性」,つまり,できるだけ独立した複数の部品にプログラムをわけることにある。 例えば,OCamlで「マンデルブロ集合」を描画するプログラムを記述するとしよう。マンデルブロ集合とは
![第6回 OCamlの「モジュール・システム」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bed39b5962a5d552c95b6d796db8f55e72d32943/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fimages%2Fn%2Fxtech%2F2020%2Fogp_nikkeixtech_hexagon.jpg%3F20220512)