アメリカカンザイシロアリという外来種のシロアリによる被害が、深刻なものになりつつある。このシロアリはアメリカ西部が原産地で、日本で最初に見つかったのは1970年代。外来種であることから、被害域は港の周辺などに限られるものと長らく思われてきた。だが近年になって、内陸部での被害報告が相次いでいる。地面に巣をつくらず、木から木へ直接飛び渡るので、完全な駆除は現時点では難しいという。木造住宅にとって「最悪」ともいえるこのシロアリについて、被害の現状や対策を取材した。 文/池谷 和浩 2008年9月24日 下に掲載した被害写真は、東京都区内に建っていた築30年の木造住宅の小屋裏だ。シロアリ防除業者から「食害が進みすぎて手の施しようがない」と見放され、今年6月に取り壊された。これが「アメリカカンザイシロアリ」による被害だった。食害は住宅全体に及んでいた。