タグ

ブックマーク / dictionary.sanseido-publ.co.jp (238)

  • 第24回 『お嬢様』考 | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    前2回(⇒前回 ⇒前々回)で触れた井上靖の『しろばんば』には、主人公の洪作のほかにも、さまざまな子供たちがあざやかに描かれている。 その中で何と言っても忘れられないのは蘭子である。蘭子は『お嬢様』キャラの見のような少女である。 そもそも、「おだまり!」「おやめ!」のように、動詞(いまの例なら「だまる」「やめる」)の連用形(「だまり」「やめ」)の前に接頭辞「お」を付けた形の発言で他人に命令するのは、『マダム』キャラの得意技である。『しろばんば』では、洪作のきつい母親・七重が、洪作の体を洗ってやる場面でこの技を連発するが、なんと蘭子も、洪作よりも年下の年令でありながら、 「うしろ向きになってお歩き」 「お黙り! お前さん、何言ってるんだ。何も判りもせんくせして」 などと、この技をやってのけている。これが『お嬢様』でなくて何であろう。さすがに「お前さん」以下の発言部分は大人の物言いを聞きつけて

    第24回 『お嬢様』考 | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 人名用漢字の新字旧字:「飲」と「飮」

    新字の「飲」は常用漢字なので子供の名づけに使えるのですが、旧字の「飮」は子供の名づけに使えません。「飲」は出生届に書いてOKだけど、「飮」はダメ。でも、旧字の「飮」も、昭和56年9月30日までは出生届に書いてOKだったのです。 昭和17年6月17日に国語審議会が答申した標準漢字表では、「飮」を含め、へんは全て旧字体でした。昭和21年11月5日に国語審議会が答申した当用漢字表は、手書きのガリ版刷りでしたが、「飮」を含め、へんは全て旧字体でした。11月16日に内閣告示された当用漢字表でも、「飮」を含め、へんは全て旧字体でした。この頃の国語審議会の方針は、へんに関しては、あくまで旧字体だったのです。そして、昭和23年1月1日の戸籍法改正で、子供の名づけに使える漢字が、この時点での当用漢字表1850字に制限されたことから、旧字の「飮」が子供の名づけに使ってよい漢字になりました。つまり、昭和

    人名用漢字の新字旧字:「飲」と「飮」
    ardarim
    ardarim 2009/01/29
    矛盾というか縦割りの弊害というかうまく回ってないよなぁ
  • 第30回 「可」もなく「不可」もなく?――成績の漢字 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    大学や学部ごとにそのルールが微妙に異なる。一人ずつの素点で提出せよ、という学部事務所もある。出席などの平常点に、答案、レポートなどの採点結果を加えて点数をはじき出すという方針が多そうだが、その方法は教員によって様々だ。昔、ある御仁が答案やらレポートを階段から投げ、あるいは扇風機で飛ばし、飛距離に応じて成績を付けたなどという話もまことしやかに伝わっているが、そんなことはできない(学業成績の「低空飛行」という比喩は、これと発想に多少関わるところがあったのだろうか)。 絶対評価か相対評価かなどという議論とは別の次元で、レポートに代筆はないか、WEBからの無断コピペはないかなど、詰まらないことにまで気を回さなければならない。他者の間で同一の中身のものがあったり、何かにつけ言い訳めいたことが書かれていれば、対応をどうとるべきか千々に頭を悩ませる。 半年、一年と講義を受けて、その内容を自身の頭で主体的

    第30回 「可」もなく「不可」もなく?――成績の漢字 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 35 ドイツ語名詞の複数形 | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 重藤 実) | 三省堂 ことばのコラム

    英語と比べてドイツ語の単語は語形変化が多く、学習者にとって大きな負担となっている。特に名詞に関しては、格変化や性の区別(男性名詞・中性名詞・女性名詞)がある上に、複数形の作り方もいろいろあって、わかりにくい。英語にも不規則な複数形はある(たとえば ox / oxen)が、そのような特別な注意が必要な名詞複数形の数は非常に少ない。 ドイツ語の名詞複数形の学習に際しては、多くの教科書が、複数形形成の型を示している。教科書により多少の違いはあるが、語尾の違いによる以下のような5つの型が提示される場合が多い。 1 ゼロ型 (ウムラウトなし) (単)Onkel (複)Onkel [伯父・叔父] (ウムラウトあり) (単)Vater (複)Väter [父] 2 -e 型 (ウムラウトなし) (単)Arm (複)Arme [腕] (ウムラウトあり) (単)Ball (複)Bälle [ボール] 3 -

    35 ドイツ語名詞の複数形 | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 重藤 実) | 三省堂 ことばのコラム
  • 人名用漢字の新字旧字:「鴎」と「鷗」

    旧字の「鷗」は人名用漢字なので子供の名づけに使えるのですが、新字の「鴎」は子供の名づけに使えません。「鷗」は出生届に書いてOKだけど、「鴎」はダメ。「欧」と「歐」の逆ですね。どうしてこんなことになってしまったのでしょう。 国語審議会のもと平成6年7月6日に発足した字体に関するワーキンググループは、ワープロにおける字体の問題を審議していました。当時のワープロでは、新字の「鴎」は表示できるのに、旧字の「鷗」は表示できないものが、多数あったのです。というのも、当時のワープロが準拠していた漢字コード規格JIS X 0208(平成2年9月1日改正版)は、「鴎」を第1水準漢字に収録していたのですが、「鷗」は収録していませんでした。この問題を解決するためには、国語審議会としては、常用漢字以外の漢字に対しても印刷字体の標準を定めなければならない、という方向に審議は進んでいきました。 一方、平成10年7月2

    人名用漢字の新字旧字:「鴎」と「鷗」
  • 第29回 「餅」のイメージ | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    正月になった。「ご飯にするとお茶碗3杯分」と数えたりしながらお(前回)をべる。焼いては砂糖醤油を付け海苔で巻いてべ、雑煮に入れては味をしみ込ませてべと、正月太りの一因となるものだ。 小学生の頃、日海に面した田舎で、正月の前後に、炊きたてのもち米から杵と臼でを搗きあげる大人たちを見た。売られている切りしか知らなかった子供は、まだところどころに米粒が姿を残したままの搗きたてののことを、「こんなものは当のではない」とむしろ思ってしまった。 さて、新年には、今年の抱負、などと称して色々な計画を立てたり、夢を抱いたりするものだ。それがあまりに実現不可能なものであれば、「絵に描いた」と言われてしまう。すなわち「画」という語は、日ではガベイ、ガヘイ、ガビョウと様々に読まれる。 「絵に描いた」で実際にイメージされる「を絵に描く」とどういうものになるだろうか。実際に尋ねて描いて

    第29回 「餅」のイメージ | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第26回「姫」と「姬」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「姫」は、常用漢字なので子供の名づけに使えます。旧字の「姬」は子供の名づけに使えません。「姫」は出生届に書いてOKですが、「姬」はダメ。実は、「姫」の音はシン、「姬」の音はキなので、「姫」と「姬」は全く異なる別の字なのですが、ここではあえて、「姫」を新字、「姬」を旧字と呼ぶことにしましょう。 昭和21年11月5日、国語審議会は当用漢字表を答申しました。この当用漢字表は、手書きのガリ版刷りでしたが、旧字の「姬」が収録されていました。これにしたがい、11月16日に内閣告示された当用漢字表にも、旧字の「姬」が収録されていました。ところが、昭和22年9月29日に国語審議会が答申した当用漢字音訓表は、やはり手書きのガリ版刷りでしたが、新字の「姫」に「ひめ」という訓がつけられていました。国語審議会は、すでに新字の「姫」を念頭においていたのです。ただ、新字の「姫」と旧字の「姬」は、音がシンとキで異

  • 第26回 已(や)むを得ず | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    人の世では、自分の考えを、己の意志に反して曲げざるを得ない場面がある。また、考えを曲げることが忍びなく、それを取り下げないとしかたのない局面もある。そうした心に背かざるをえない状況において、私たちは「やむをえず」という表現を用いる。 それを平仮名で「やむおえず」と書く人は、「やむ」と「おえず」から成る語だ、と異分析をした結果かもしれない。また、「ヤモーエズ」というように発音する人があるため、「やもおえず」「やもうえず」などと記す人もいる。 しかし、これは漢字を交えると「已むを得ず」となる決まり文句である。「止むを得ず」という表記を認める辞書もある。そのように書かれるケースは明治初期にも見られ、今でも続々と現れている。このうち、現代における「止むを得ず」という表記の使用は、「已」という字種が常用漢字として認められていないこととも関連するのであろう。それにもかかわらず、学校の古典文法に出てく

    第26回 已(や)むを得ず | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • その46 「已(や)むを得ず」の「已む」って何? | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム

    【今年の漢字ではないよ】 『三省堂国語辞典』の特色のひとつに、漢字の書き分けを徹底的に示すということがあります。たとえば、「はかる」の漢字表記について、「計る・量る・測る」と一括して示す辞書もありますが、『三国』では、「図る」「計る」「測る」「量る」、さらに、「諮る」「謀る」はそれぞれ別の項目にしています。 かつての国語審議会は、「『異字同訓』の漢字の用法」について文書を示しましたが、細かい書き分けにはこだわらなくていいとしていました。でも、『三国』の主幹だった見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)は、辞書までがそういう姿勢ではいけないと考えました。〈いくら審議会が〔こだわらなくていいと〕言っても、漢字で書きたい人にはその答えを与えておかなければならない〉(『辞書と日語』玉川選書 p.139)と記しています。 『三国』の漢字の書き分けの方針を鮮やかに示しているのは、「とび……」で始まる項目です。

    その46 「已(や)むを得ず」の「已む」って何? | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/12/19
    もともと中国語の成句「不得已」から来ているから、「已む」単独の意味を熟語の意味から勝手にばらして「そうしないですむ」などと勝手に割り当ててしまうのは乱暴すぎると思う。
  • 第27回 井上史雄さん:古株じゃん 新米じゃね | 地域語の経済と社会 ―方言みやげ・グッズとその周辺―(言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics) | 三省堂 ことばのコラム

    静岡市に行きました。方言を使ったポスターなどが色々手に入りました。駅の地下街の飲み屋では「じゃん」を使った歌をテープで流していました。「じゃん だら りん」はお隣、愛知県三河地方の方言として有名で、コメの袋などにもみられます【図1】。 「じゃん」の発祥地は山梨県と思われます。明治時代に甲府の方言文献に記録されているので、もう100年以上になります。長野県と静岡県には大正・昭和になって広がったようで、愛知県全体に広がったのはもう少しあとのようです。その後「じゃん」は横浜を経て戦後東京に入りました。 「じゃん」は関西を飛び越えて西日各地にも広がりつつあります。広島県の観光キャンペーンでは「ええじゃん広島」【図2】をキャッチフレーズにしています。「わしじゃ」のように「だ」の意味で「じゃ」を使うから、なじみやすいのでしょう。 この古株「じゃん」にならって、最近出たのが「じゃね」です。東京付近の若

    第27回 井上史雄さん:古株じゃん 新米じゃね | 地域語の経済と社会 ―方言みやげ・グッズとその周辺―(言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics) | 三省堂 ことばのコラム
  • 33 耳の文化と目の文化(9)-視覚的な特性(2) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム

    まず同音異義語の書き分けから。名詞としては Laib [laɪp]「(パンなどの)塊」と Leib [laɪp]「肉体」、Waise [vaɪzə]「孤児」とWeise [vaɪzə]「やり方」、動詞としてはleeren [le:rən]「空にする」とlehren [le:rən]「教える」、malen [ma:lən]「描く」とmahlen [ma:lən]「(粉に)碾く」、文法的な語としては指示代名詞・定冠詞das [das]「それ・その」と接続詞の dass [das]「…すること」、前置詞wider [vi:dɐ]「…に逆らって」と副詞wieder [vi:dɐ]「再び」、などがある。接続詞dassは指示代名詞から生まれたものであり、英語のthatはそのような区別はしていないから不要と言えるが、やはり文の中で目立った方が副文の把握が容易になると言う利点がある。また、widerは

    33 耳の文化と目の文化(9)-視覚的な特性(2) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第27回 「口」の形 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    どのくらい前からのことだろう、「口」の形が気になっている。 この連載の話であるから、誰かの唇ということではなく、言うまでもなく「口」という漢字の形についてである。それは、甲骨文字のサイと読まれるというそのことでもなく、筆跡によって書き手の性格が分かるというあのことでもない。若年層によって手で書かれた筆跡を見るにつけ、これは……と思ってしまうのである。 毎年、社会人や学生が手で書いた文字を読んでいる。1000人くらいの直筆である。文章の内容を読み取ると同時に、その表記や漢字の用法、字形なども気に掛かる。彼らのワープロやメールでの文章との差異も様々なレベルで見て取れる。そうして見出せた「動き」は、フィードバックして当人たちと一緒に考えてみるよう努めているが、その動向は多彩すぎてなかなか追いつけない。 さて、手書きの文字には、点画を記す順番として「筆順」というものが存在する。書き順と呼ばれるよう

    第27回 「口」の形 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/12/15
    下から上へ引く「|」って何!? 「淵」は未だに正しい(とされる)筆順が分からず… 「凹」「凸」とかは余裕で5画なんだが。
  • 第25回「弥」と「彌」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日に国語審議会が答申した標準漢字表には、旧字の「彌」が収録されていて、新字の「弥」がカッコ書きで添えられていました。つまり「彌(弥)」となっていたわけです。ところが、昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表には、「彌」も「弥」も収録されていませんでした。そして、戸籍法が昭和23年1月1日に改正された結果、旧字の「彌」も、新字の「弥」も、子供の名づけに使えなくなってしまいました。でも現在は、「彌」も「弥」も出生届に書いてOK。「彌」や「弥」は、どのようにして人名用漢字になったのでしょう。 全国連合戸籍事務協議会は昭和25年10月19日の総会で、子供の名づけに使える漢字を、当用漢字以外にも増やしてもらうべく、法務府と文部省に要望することを決めました。戸籍担当者たちは、子供の名づけが当用漢字だけで十分だとは思っていなかったからです。この時、全国連合戸籍事務協議会が要望し

  • 31 言語音の変化 | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 重藤 実) | 三省堂 ことばのコラム

    言語の特性の一つに「常に変化し続けること」がある。音声(発音)も変化する。日語の音も変化している。 五十音図は日語のすべての音を体系的に、つまり網羅的かつ重複なしで記述していると考えられがちだが、よく見ると、この五十音図も日語の音を1対1対応で正確に文字で表記しているとは言えない。たとえば「お」と「を」、「じ」と「ぢ」は文字上では区別があるが、発音上の区別は、原則的にはない。一方、五十音図にはない「でぃ」と表記される発音は、すでに日語に定着している。以前はこの音は日語にはなかったので、外来語には「ビルジング」「ビルヂング」などという発音および表記が用いられた。しかし現在では「ビルディング」という発音および表記が普通だろうし、「デズニーランド」などと発音する人は圧倒的に少数派だろう。(もっとも現在でも、「ディジタル」ではなく「デジタル」という発音および表記が通常の外来語も存在する。

    31 言語音の変化 | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 重藤 実) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/12/02
    言葉は生き物。
  • 第24回「痩」と「瘦」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    旧字の「瘦」は人名用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。でも、新字の「痩」は、子供の名づけに使えません。旧字の「瘦」は出生届に書いてOKですが、新字の「痩」はダメ。けれども当は、新字の「痩」も、人名用漢字になれるはずだったのです。 平成16年2月20日、経済産業省は、漢字コード規格JIS X 0213を改正しました。 表外漢字字体表(平成12年12月8日国語審議会答申)に対応させるためです。元々JIS X 0213には、新字の「痩」しか掲載されていなかったのですが、この改正で第3水準漢字に、旧字の「瘦」を含む10字が追加されました。表外漢字字体表の印刷標準字体と簡易慣用字体に、「瘦」と「痩」がそれぞれ収録されており、 JIS X 0213に「瘦」と「痩」の両方を掲載しなければならなかったからです。 平成16年3月26日に法制審議会のもとで発足した人名用漢字部会は、 1ヶ月前に改

    第24回「痩」と「瘦」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/11/28
    使えるかどうかと使うかどうかは別の話。「痩」なんて人名だとあんまり需要なさそう。
  • 第25回 世界を駈け巡る「茶」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    大学に移って4年目にして、やっと研究室でお茶を淹れられるようになった。 慌ただしい日々であることに変わりはないが、散らかった研究室でも訪ねにいらして下さる方々が少しずつ増えてきたのと、お土産に東アジア各地のお茶を頂くことが増えたためだ。今話題のメラミンなるものも、これには関わらないだろう。 「茶」が中国で生まれた飲料であることは有名だ。元は「荼」(ト・ダ)という、ニガナなどを指す形声文字が転用されていたものとされる。なお、この字を「荼毘(ダビ)」と用いるのは梵語に音訳しただけのもので、茶とは関連がない。 その「荼」の「余」の部分を「人」の下の「一」を取り除いて「ホ」のように変えて「茶」とすることで、元の字との発音と意味の差を示したと言われている。下部の字体は「ホ」か「木」かなど、どのように書かれるか議論されることもあるが、これはそもそもそのようにして唐代に起こった俗字だという。この造字法は

    第25回 世界を駈け巡る「茶」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/11/17
    「爽健美茶」を「そうけんびティー」と呼ぶ女子学生も現れた
  • 第23回「曽」と「曾」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「曽」は、平成16年2月23日の戸籍法施行規則改正で、人名用漢字になりました。旧字の「曾」は、平成16年9月27日の戸籍法施行規則改正で、人名用漢字になりました。つまり現在では、「曽」も「曾」も出生届に書いてOK。でも、「曽」が人名用漢字になるためには、最高裁判所の判断が必要だったのです。 平成15年2月27日、札幌家庭裁判所は、新字の「曽」を子供の名づけに含む追完届を受理するよう、札幌市厚別区長に命令しました。追完届って、ちょっと聞きなれない言葉ですね。出生届などにおいて、項目の中に未定あるいは不明の欄があった場合、それを後から届出るのが追完届と呼ばれるものです。この事件では、子供の名づけに「曽」を使いたい親が出生届を拒否されたので、やむをえず「名未定」で出生届を提出していました。その後、「曽良」という名前で追完届を提出したのですが、追完届が受理されなかったので、厚別区長を相手どっ

    第23回「曽」と「曾」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/11/10
    『常用漢字の「僧」「増」「贈」「憎」「層」のつくりが「曽」である点を指摘し、さらに郵便番号簿から「曽」を含む地名を306ヶ所も抜き出して、「曽」が戸籍法で言う常用平易な文字だと主張』した親の拘りに脱帽。
  • 第24回 「オグシオ」の「椋」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    北京での五輪(オリンピック)、中国語では「奥林匹克(アオリンピーコー)運動会」では、さまざまな選手が登場し、晴れの舞台を飾っていたようだ。スター性の強い選手も少なからず現れ、マスコミを賑わわせた。 その中に、“オグシオ”と呼ばれるバドミントンの小椋久美子と潮田玲子のペアがあった(*1)。大会の間、その「小椋久美子」の名は、中国語でどう発音されていたのだろうか。私はあまり熱心には観戦していなかったので、聞くことはなかったのだが、姓は中国語では各種の辞書の記載に従って恐らく「シアオ・リアン」(xiao3 liang2)のように読まれていたのではなかろうか。この「椋」という字は、現代の中国では「椋鳥」(ムクドリ  liang2niao3)くらいにしか使わなくなっているようだ。 このムクドリに対する中国語の表現は、日から伝わった鳥の名の表記によるものであろうが、この「椋」(リョウ)という漢字は、

    第24回 「オグシオ」の「椋」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • その39 足も、足下も、すくわれないでね。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム

    言い方がゆれていることばを辞書に載せる場合、どちらを採用すべきかが問題になります。『三省堂国語辞典 第六版』の編集段階で、「足をすくわれる」と「足下(あしもと)をすくわれる」とのどちらの言い方が適当か、議論になりました。 一般には、「足をすくわれる」が正しいという主張が目につきます。たとえば、日語の誤用を批判するあるでは、「足下」というのは立っている足のあたりのことだと言い、すくうのは足そのものであって、足下ではないと説明しています。 なるほど、理屈が通っているようです。でも、「足下」には足先の意味もあります。「足下が冷える」とか、〈部屋に入ろうとすると、足もとに何か触れた。〉(河野多恵子「幼児狩り」1962年)とか言うのはその例です。『三国 第六版』の「足下」にも、〈足の、先の ほう〉という意味が加えられました。したがって、「足下」はすくうこができます。 【足(下)をすくうの図】 ま

    その39 足も、足下も、すくわれないでね。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2008/10/30
    「足(下)をすくわれる」意外と歴史の浅い表現なのだな。
  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 学会情報:第34回語彙・辞書研究会